東映、巨人、ロッテなどで活躍した張本勲氏の人生は壮絶なものだった。
YouTubeチャンネル〈日本プロ野球名球会チャンネル〉に出演し(6月10日)、NPB歴代最高となる「3085安打」の力の源を振り返った。
5歳の頃、焚き火に突っ込んで右手を火傷。薬指と小指の自由を失う大ケガを負ったという。
「だから親指と人差し指と中指で、わずかに小さい棒を握れる状態だったから、野球ができたかもわからんね」
それでも、持ち前の気性の強さと恵まれた身体能力で、甲子園を夢見る少年へと成長を遂げる。ところが、素行の悪さから希望校には進学できず、広島の定時制に入学。知人を通じて、大阪の浪華商業高校(現・大体大浪商)の野球部監督に「10分でいいから、投げる、走る、打つだけを見て下さい」と直談判。これが功を奏した。
しかしながら、経済的に困窮していた家計から、大阪の高校へと転入する際の金銭捻出は難しい。そこで張本氏の兄が、ほとんど寝ずに働いて得た2万3000円の給金から1万円を3年間、仕送りしてくれたそうで、
「それは頑張らざるをえないわね。必死に練習しましたよ。それが源になってるんじゃないですかね。野球選手の力を蓄えたというのは、それが原点」
アッパレ、である。
(所ひで/ユーチューブライター)