引退か現役続行か──。先日行われたフィギュアスケートの世界選手権に出場した浅田真央(23)の「決断」に、再び日本中の関心が集まっている。ソチ五輪直後の会見で、今シーズンでの引退は「ハーフ、ハーフ(五分五分)」と語っていた浅田だが、彼女の周囲は、引退をさせまいとする抵抗勢力だらけなのだ。
元五輪代表の渡部絵美氏が言う。
「選手にとっての最終目標は、大会で結果を出すことと、いい演技を見せることの2つ。真央ちゃんはソチ五輪でメダルにこそ手が届きませんでしたが、フリーの演技で8トリプルを成功させ、観衆を感動させたという意味で、この2つを手に入れました。引退か現役続行かについての判断は世界選手権の出来しだいでしょう。悔いが残るような演技なら続行だと思います」
しかし、こんな渡部氏が推察する「浅田の心情」をよそに、スケート界にはドロドロした裏事情が渦巻いている。
スポーツ紙デスクは、まず今回の大会の放映権料がまるまる懐に入る国際スケート連盟(ISU)が、引退を許さないだろうと予想する。
「放映権料は、今大会では1日5000万円にまで値上がりしました。これだけの大金が払われるのも浅田で客が呼べるからです。村上佳菜子あたりではまだまだ無理。ISUのチンクアンタ会長も、日本スケート連盟の橋本聖子会長に浅田に現役を続けるよう口説いてほしいと要請しているといいます。その日本スケート連盟も、高額なフィギュアのチケット収入で潤っていた財政が、浅田の引退で激減しては困る。連盟の幹部は陰に陽に圧力をかけて引退させないようにしています」
実際、浅田がシニアデビューした06年から13年までの9年間で連盟の現金預金は9億円も増えた。やはり客を呼べた安藤美姫が昨年引退したことで、連盟の危機感はさらに強まっているのだという。日本スケート連盟関係者が内情を打ち明ける。
「連盟の“女帝”と言われた城田憲子元強化部長の存在も気になります。バンクーバー五輪直前のことですが、城田氏は強引に浅田に海外遠征のスケジュールを入れ彼女の体調を乱した。これに浅田の亡くなった母親が激怒し、橋本会長が双方の仲裁をしたことで、何とか最悪の事態は免れたという“暗闘劇”があったんです。城田氏は、その後、連盟の使途不明金事件で失脚しましたが、瞬く間に返り咲き、復権を果たした。今、その城田氏が、自分たちの銭勘定で浅田に現役を続けさせるような“暴走”を再び始めてしまうのではないか、という見方も出てきている。浅田は、嫌とは言えず、体調不良でも無理をしてしまう性格だけに心配です」
去る3月3日、自身のブログで「感謝の思いをこめて滑りたいと思います」と世界選手権への思いをつづっていた浅田だが、自身を取り巻く欲まみれの面々に対しても、はたして「感謝」できたのだろうか。