全仏オープンベスト8に進出したものの惜しくも敗れ、初のグランドスラム制覇は次回以降へ持ち越しとなった錦織圭。それでも、日本人男子の8強入りは82年ぶりの快挙であった。
近年の目覚ましい活躍の陰には、いわずと知れたマイケル・チャンコーチの存在がある。13年12月にチャンをコーチ陣に迎え入れた錦織だが、一部のネットなどでは、2人の出会いをアレンジしたのは松岡修造・錦織組ととんねるずが対戦し、とんねるずの助っ人にチャンが現れたTV番組だったと語られている。しかし、2人の出会いはそれ以前であり、しかも、二人をつないだのは錦織の母親なのだという。
「錦織は、11年11月に都内で行われた東日本大震災復興チャリティイベントでチャン氏と対談し、面識はあったものの、その後しばらくはチャンと連絡を取っていませんでした。たまたまある試合会場でチャン夫人と錦織の母親がバッタリ出会い、チャン夫人が『何かあったらいつでも連絡を下さい』と、持っていたレシートの裏にチャン氏の電話番号とメールアドレスを書いて錦織の母親に渡したのです」(スポーツ紙記者)
母親は、当時世界ランクトップ10の壁をなかなか破れず悩んでいた錦織にチャンのコーチ招聘を勧め、錦織はそのメモを頼りにチャンに連絡したという。
一方、フィギュアスケートの浅田真央も、佐藤コーチに指導を依頼したのは、今は亡き母、匡子さんだった。10年夏、バンクーバー五輪銀メダルに世界選手権制覇とすでに数々の実績を残してきた浅田の指導を、佐藤氏は後に、「今さら、私がどうのこうのっていうことでもないでしょうとお断りしていた」と語っている。しかし、何度断っても頭を下げて頼む母の熱意に、佐藤コーチはついに了承したのだ。
アスリートと名コーチの二人三脚。しかしその紐を結びつけるのは、母親というキーパーソンの力だったりするのだ。
(芝公子)