一般紙に「その他」扱いされている「参政党」が「参院選で議席を獲得するのでは」と話題になっている。
6月24日の朝日新聞に掲載された参院選序盤情勢調査の記事では「政治団体の参政党は、比例区での議席獲得が視野に入る」とある。永田町関係者が言う。
「岸田文雄総理の政治姿勢に物足りなさを感じ、安倍晋三元総理を支持する自民党ウルトラ右翼の票が流れているのではないか」
参政党とはどんな政党か。公式サイトによると、共同代表は3人。日本維新の会で衆院議員を務めた経験もある松田学氏、叔父が右翼活動家でもあった故・赤尾敏氏という経歴をもつ赤尾由美氏、歯科医の吉野敏明氏だ。事務局長は大阪の元吹田市議、神谷宗幣氏。
その神谷氏が中心になって参政党を作ったという話もあり、環境問題などについてテレビのコメンテーターとして活躍している武田邦彦氏も今回、参政党から比例区候補として出馬している。そして驚くのは、参院選で全ての選挙区に候補者を立てていることだ。
「先人たちが守ってきたこの国を、次の世代へ引き継ぐために」「身近のコミュニティ活動から始める参加」という理念のもと、「子供の教育」「食と健康、環境保全」「国のまもり」という3つの重点政策を掲げている。自尊史観の教育、外国人労働者を抑制し外国人参政権を認めない、などの具体策も提示している。
「世界唯一の皇統を日本のアイデンティティの根幹として未来に継承する」とするが、公式サイトを見る限り、ウルトラ保守とのレッテル貼りはできない。
オピニオン誌「Will」8月号では、神谷事務局長と武田氏による「真の保守政党をめざして」とする記事が掲載されている。
選挙活動はSNSをフルに活用し、神谷事務局長は「ユーチューバーのおかげで、今年の5月から一気に支持者が増えた。ネットでバズっている」と公式サイト内のYouTube動画で話している。
「自民党が議席を減らせば岸田総理の求心力が落ち、安倍元総理の再々登板の可能性が出てくる」
そう語る保守団体関係者もおり、岸田政権では物足りない保守票は、憲法改正を明確に示す日本維新の会に流れる、との見方もあった。ところがネットで支持者を増やす参政党が、何やら不気味な存在になってきたのだ。
(健田ミナミ)