安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者は奈良県警の調べに対し、犯行理由について、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)に入信した母親が破産した後も献金を続けたことから家庭連合に恨みを持ち、関係の深い安倍氏を狙った、と供述している。
これについて家庭連合は7月11日、記者会見を開き、母親が教会員で02年頃に破綻したと、事実関係を概ね認めた。
そんな中、山上容疑者の特殊な銃の製作、現場での冷静な発砲技術から、
「山上容疑者の単独犯とは考えにくい。銃の扱いを指南した集団がいるのではないかと、捜査当局は慎重に捜査を進めています」(全国紙社会部記者)
そこで浮上してくるのが、統一教会の分派、サンクチュアリ教会なのだ。
SNSには、鞄をたすきがけにして改造銃を左手で持つ、犯行現場の山上容疑者のフィギアが中国語で販売されている写真が上がっている。あまりの悪ふざけぶりだが、その姿が傭兵のように見えるのは気のせいか。
山上容疑者は02年~05年に海上自衛隊にいたが、その後は派遣会社に登録してフォークリフトの操作をしていたなどとされるが、詳細は不明だ。また、昨春から銃の製作を始め、家庭連合への「復讐」の準備を始めたと供述しているが、母親が破綻したのは02年。なぜ約20年の時を経て、犯行を思いついたのか。前出・社会部記者は、
「事件発生直後に捜査関係者から聞いた話では、山上容疑者はサンクチュアリ教会で銃器の訓練を受けていたとの情報もあったのだと…」
宗教関係者の話を総合すると、統一教会は開祖の文鮮明氏が死去すると、文氏の妻・韓鶴子氏が責任者となった家庭連合(天の父母様聖会)と、七男の文亨進氏により設立したサンクチュアリ教会に分裂状態とされる。
サンクチュアリ教会は米国では「ガンチャーチ(銃教会)」と呼ばれ、銃賛美、武器使用を称賛する。21年1月、連邦議会議事堂を襲撃したトランプ前大統領の支持者の中に、文亨進氏の姿もあったという。捜査関係者が言う。
「現場映像では、2発の銃弾が発射されている。連発できる自作の銃は、よほどの能力がないとできない。また山上容疑者がSPの隙を狙った間合いの取り方も、訓練されていないとできない」
山上容疑者の背後に何が隠れているのか。
(健田ミナミ)