安倍晋三元総理を銃撃した山上徹也容疑者が投稿したとみられるツイッターが、ネット上に残っている。その内容から、山上容疑者の極めてリアリスティックな一面が垣間見えるのだ。
例えば、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、今年1月の初回放送後に、こう「論評」している。
「期待はする。期待はするけど、最後の騎馬逃亡シーンからして、真田丸で思い知った生死が掛かった修羅場描写の三谷幸喜のスベリ感が再現されなければいいが」
三谷幸喜氏の脚本は独特で、小ネタやセリフで「クスッと笑う場面」を作る。その一方で、16年の大河「真田丸」では、本能寺の変、関ヶ原という歴史の山場について、あまりにアッサリしていたことから、賛否両論が出ていた。山上容疑者はなかなかのドラマ通だ。
またアニメ映画「千と千尋の神隠し」の主題歌「いつも何度でも」がお気に入りだったようで、この曲が流れている時に、クシャミをしたおじさんにキレそうになった、としている。
山上容疑者は、ネット上で何でも安倍氏が悪いと書き込む「アベガー」ではなく、安倍氏の信奉者でもない。はじめから結論ありきのレッテル貼りで批判する人、ムードや流行に右往左往する「大衆」を冷静に見ている…そんな姿が浮き彫りになる。
ウクライナ戦争勃発後、対ロ外交で安倍氏が批判されたが、山上容疑者は、
「安倍の味方する気もないが、ウクライナ侵攻までロシアがレッドラインを越えていない。安倍潰しの最初にありきが見え見えの愚論」
と持論を展開。
15年頃、安保法制などに関連し、若者による反対運動の中心にいたSEALDsについても、
「SEALDs…あれは一体何だったのだろうか。米中冷戦やウクライナ戦争を見ても安保法案は立憲主義の破壊で安倍はヒトラーなのだろうか」
また、若者の自殺に対するこんな書き込みを、リツーイトしている。
「将来の希望が持てず『あと何十年もこれが続くのか…』と思うと生きる気力は削がれてくる。そのくらい今の日本で若い人が希望を持って生きるのはすごく難しんだよ。若者だからこそ亡くなってしまう」
このツイッターが本人のものなら、山上容疑者は心神耗弱などで裁判ができないような人間ではない。きっちりと裁判を受け、法廷で全てを語ってほしい。
(健田ミナミ)