令和最大の問題作「REVOLUTION+1」(太秦)がいよいよ東京に上陸。3月11日より渋谷・ユーロスペースで劇場公開される。2月1日のプレミア上映会で目撃された衝撃シーンとは──。
「俺が殺したこの男──」
作品の冒頭、こんなナレーションとともに映し出されるのは演説中の安倍晋三元総理。昨年7月8日、近鉄大和西大寺駅北側で凶弾に斃れる直前の映像だ。さらに男の告白は続く。
「この男を殺す理由なんてどうでもいい。理解しなくてもいい──」
何を隠そう、本作のモデルは、安倍元総理銃撃事件で、殺人罪などで起訴された山上徹也被告(42)。映画はあくまでフィクションで、主人公「川上達也」の母が旧統一教会に入信したことで起こった一家の悲劇と、銃撃事件を決行するまでの半生が描かれている。
メガホンを取ったのは足立正生監督(83)。1966年に「堕胎」で商業映画デビュー。その後、ピンク映画の巨匠・若松孝二が設立した若松プロダクションに参加し、「女学生ゲリラ」(69年)などを手掛けた。
71年には若松とともにパレスチナに入り「赤軍─PFLP 世界戦争宣言」を制作したことで公安警察からマークされる存在に。74年に日本赤軍に合流し、「テロリスト」として国際指名手配を受けた。その後、レバノンでの逮捕、収監、強制送還を経て国内で監督活動を再開。本作は「断食芸人」(太秦/16年)以来の監督作となる。
本作で安倍元総理を警護するSP役として出演し、制作にも携わった俳優・増田俊樹は語る。
「映画が企画されたのは昨年7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件の直後です。9月27日の国葬当日に上映するためにスタッフが集められ、8月末にクランクイン。8日間の撮影の後にすぐ編集に入り、国葬前日(9月26日)の先行上映を皮切りに、各地のミニシアターで上映されました」
今回、劇場公開されるのは、この緊急上映版にさらなる編集を加えた完成版だという。
衝撃的だったのは、冒頭と終盤で展開される銃撃シーンだ。ここでは、実際の安倍元総理の演説映像と、フィクションである「川上達也」の立ち回りを織り交ぜることで、緊迫感とリアリティあふれるシーンに仕上がっている。
観客の一人は興奮気味に、こう語った。
「撮影は事件直後。しかも映画では舞台となった大和西大寺駅が出てきます。当時はまだ、警官が現場検証を行っていたはず。ロケに伴う道路撮影許可など下りるはずがありません。山上徹也がモデルの映画なんてもってのほか。どうやって撮影したのか‥‥」
プレミア上映終了後、足立監督を直撃。真相を確かめるべく、「やはりゲリラ撮影で?」と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「もちろんゲリラだよ。『止められるか、俺たちを』って気概でね。雨の日を狙って撮ったんだ」
この日、満員御礼の会場には、昨年11月の襲撃事件で重傷を負った社会学者・宮台真司氏も姿を見せていた。
氏を襲った容疑者と見られる41歳の男はすでに自殺していたことが判明し、宮台氏はイベント終了後の会見で、
「ロスジェネ世代。無差別殺傷事件を起こす人が多く生まれている」
と語った。くしくも山上被告が事件を起こした時の年齢と同じだった。