参院選の選挙応援演説中に銃弾に倒れ、帰らぬ人となった安倍晋三元総理。9月に安倍氏の国葬を執り行うことについては、賛否が飛び交っている。
7月19日、立憲民主党の泉代表が「(国葬という)答えを出すには早すぎた」と国会での閉会中審査を求めたところ、自民党の茂木幹事長が「国民の認識とズレているのではないか」と反論。政治部デスクが言う。
「茂木幹事長は国葬を行う法的根拠について『内閣府設置法で、内閣が国の儀式を所管する、と明記されている。政府が閣議決定を根拠として国葬を行うことは、法律上も全く問題ない』とした上で『国葬とするのは極めてふさわしい、適切なあり方だ』と力説しました。 閉会中審査を求められたことには『野党が何を考えているかは分からないが、国民から国葬をすることについて、いかがなものかという指摘があるとは認識していない』とかなり強気に牽制したのです。『野党側の主張は、国民の声・認識とはかなりズレている』とまで言った。ところが、この一方的な言い分には野党はもちろんですが、国葬に賛同する自民党支持派からも苦言が噴出しました」
安倍氏の国葬を、あたかも国民が満場一致で受け入れているかのような茂木幹事長の発言に、当然ながらネット上では怒号が。
「まるで(野党支持派の)私たちが国民ではないような言い草は異常」
「統一教会との関係を国葬で誤魔化そうとしている」
「いいですか。現役の総理じゃないんですよ」
などといった具合なのである。自民党関係者は、
「最終的に国葬になるとは思うが、政権与党として、もっと余裕を持つべき。重要な問題なので、話し合いは必要だ」
自民党議員のベテラン秘書も、苦言を呈する。
「統一教会との問題は根深い。安倍さんには気の毒だが、国葬は反対ですよ。茂木幹事長の言い分にかなり違和感を覚えた自民党議員も、一定数いますね。安倍さんがこんなゴリ押しを望むとは思えない。天国で泣いているのでは」
前出の政治部デスクが、この議論の問題点に斬り込む。
「とにかく茂木幹事長の発言で一番の問題点は『野党の主張が国民とズレている』という部分ですよ。野党と話し合わずして政権与党が決める、これが全てにまかり通るなら、それは民主主義とは言いません。そこをどう説明するつもりでしょうか」
岸田総理は7月14日に、「国葬儀を執り行うことで安倍元総理を追悼するとともに、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示してまいります」
と語っている。茂木幹事長だけでなく、与党における「民主主義」の認識は、それこそ国民が思うものとはズレまくっている。
(山田ここ)