9月27日に日本武道館で実施される安倍晋三元総理の国葬(国葬儀)。だが、一連の旧統一教会問題や、立法府での議論がなかったこともあり、国葬はするべきかどうか、世論もいまだに分かれているのが現状だ。
さらに、国葬の「経費」についても疑問が投げかけられている。というのも、政府は当初、国葬にかかる経費を約2億5000万円と発表していた。ところが、マスコミや世論の精査を求める声が高まると、9月6日になって松野博一官房長官が会見を開き、精査後の費用を発表した。その額は16億6000万円。当初の7倍近くに跳ね上がったのだ。
費用がかさんだのは「警備費」の約8億円だ。だが、この額についても「少なすぎる」という疑問が残る。元警視庁警視で警備畑を歩んだ危機管理コンサルタント・江藤史朗氏が解説する。
「6日の会見で松野官房長官は警備費の内訳を、道府県警からの派遣の旅費・超過勤務手当で約5億円、待機所の借り上げ費が約3億円と述べました。ここでポイントとなるのは『道府県警』と述べたこと。つまり警備の主となる警視庁の人数が入っていないのです。ここを入れると入れないのでは(警備費用の総額に)大きな違いが出ます」
江藤氏によれば、国葬規模の警備の場合、特に当日とその前後は警視庁4万5000人のほとんどがその任務に当たるという。一方、地方からの応援人数はおよそ警視庁の半分。もちろん、警視庁は道府県警とは違って旅費の負担はないが、超過勤務手当は応援人数の倍はかかり、そこがスッポリと抜け落ちているというのだ。
「警視庁の警備本部は、9月20日を過ぎた段階で(警備のグレードが上がり)警察官の勤務が完全に二交代になります。24時間勤務して交代、という形ですね。当然、そこには超過勤務手当も発生します。そして当日は、さらにグレードが上がった最高警備本部が立つ。恐らく午前9時ごろからだと思いますが、そこから国葬儀が終了するまでは、警視庁全員で任務にあたることが決まっている」(前出・江藤氏)
警備費のほかにも、物価高による菊の花の高騰などを勘案すれば、とても16億6000万円では収まるはずがないのだ。結局、どれほどの血税が投入されるのか…。発売中の「週刊アサヒ芸能」(9月22日号)が詳細に分析している。