次々と問題が発覚し、スキャンダル国会と化している与野党の攻防。一方が疑惑を追及すれば、片や「新ネタ」を持ち出して応戦する。実によくできた争いだと思っていたら案の定、なんともバカバカしい「仕掛け」が隠されていたのである。
裁量労働制については法案から全面削除する──。
2月28日の総理官邸。加藤勝信厚労相(62)、二階俊博自民党幹事長(79)らとの深夜会談を終えた安倍晋三総理(63)は、待ち構えていた報道陣に疲れ切った表情で、苦渋の決断に至った経緯と結論を伝えた。
「働き方改革」は安倍政権が打ち上げた今国会の目玉政策だった。ところがいざ通常国会が開幕すると、柱の一つである裁量労働制を巡り、根拠となるデータの誤りが次々と噴出。安倍総理は白旗を上げざるをえない状況に追い込まれた。
今回の杜撰なデータ騒動に詳しいある官邸関係者は、
「厚労省内には安倍総理に対する二つの怨念が今なお渦巻いているからね」
と前置きしたうえで、舞台裏を次のように明かす。
「一つは消えた年金問題で社会保険庁を解体させられた恨み。もう一つは安倍一強を笠に着た強引な官邸主導に対する反発だよ。今回の『働き方改革』でも『官邸を援護射撃するデータをそろえろ』と言われ、省内には『担当官庁に何の相談もなく命令だけかよ』との不満が噴出していた。要するに、厚労省によるサボタージュ、意趣返しだね」
そんな中、いわゆる「もりかけ問題」の追及で不完全燃焼が続いている野党は鬼の首でも取ったかのように勢いづくのか──と思いきや、政権を揺るがすほどの迫力はまったく伝わってこない。何が野党の反撃を阻んでいるのか。
この点について、民進党出身のさる野党議員は、
「杜撰なデータ問題で安倍一強に楔を打ち込む千載一遇のチャンスが到来しているのは確か。ただ、うっかり調子に乗って目立ちすぎると、今度は我が身が危なくなる、という恐怖感が追及の手を鈍らせている」
そしてさらに、ホンネを吐露するのだ。
「例えば通常国会の開幕直後には、コワモテで知られる茂木敏充経済再生担当相(62)の選挙区での線香配布疑惑が浮上した。希望の党の玉木雄一郎代表(48)をはじめ、野党は『公選法違反だ』『大臣辞任だ』と色めき立ったが、間もなくして追及の急先鋒だった玉木氏に同様の香典問題が急浮上。結局、茂木氏の疑惑はウヤムヤのうちに幕引きとなった。自民党には恐ろしい『諜報機関』があるからね」
だからミスター年金の異名で鳴らした立憲民主党の長妻昭政調会長(57)でさえ、今回の杜撰データ問題の追及は及び腰にならざるをえない、というのである。
同様に、昨年10月の衆院選直前には、「もりかけ問題」の追及で名を馳せた民進党(当時)の女闘士・山尾志桜里氏(43)の不貞疑惑も突如、露見している。