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安倍元総理を銃撃した犯人が恨みを持っていた「世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)」が許せません。というか、宗教と政治家の癒着が許せない。救いを求めてお布施したお金が政治家へと流れているとしたら、ありえないこと。宮崎さん、これこそ、なんとかできないんですか。
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僕も議員時代に「世界平和女性連合」みたいな名前で接点を持とうとしてくる団体がありました。「今考えると、あれが統一教会だったようです」とテレビ番組で発言したところ、現在、SNS上で炎上中です。
でも本当の話で、「会合に来て下さい」と声をかけられたり、「途上国に毛布を送りたいので、いらない毛布はありませんか」といった連絡が。ただ、事務所の秘書がそこで止めており、僕には知らされていませんでした。その申し出だけでなく、会員にならないかという勧誘もあったそうです。
ここからは政教分離の話になるのですが、これは日本国憲法20条で定められたルールです。「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」とあり、さらに「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と記載されています。
とはいえ、線引きが難しい現状もあります。今回、公明党がこの問題についてコメントを控えていますが、周知のように、公明党の最大の支持母体は創価学会。今回の事件から「宗教と政治の癒着は許さない」という国民の声が強まっていくのであれば、憲法に則って白黒つけるしかありません。つまり、明確な線引きを設けるのです。とはいっても、個人ひとりひとりの信仰の自由の保障もありますし、明確な証明も難しいですが。
「宗教法人を非課税にするな」と訴えている人もいますが、これも難しい。
庶民のための小さな神社と、統一教会的な大きな集団は一緒なのかと考えると、そうではありません。が、ここに多額の寄付をする庶民がいるかもしれません。それこそ、好きでやっている人も多いのです。
現状、統一教会が槍玉に上げられていますが、詐欺まがいの信仰は他にもあるようです。宗教ではありませんが「こんな絵に何千万円も払うの!?」というケースもある。それを追及していくと、その人はそこに価値を見出している。そんな価値観を持っている人もいます。つまり、形式的に信仰、信心を洗い出せない現実があります。
政教分離のあり方は今一度、見直した方がいいでしょう。憲法89条は「公金その他の公の財産は、宗教上の組織等のために支出してはいけない」と定めています。そこを遵守することはもちろん、個人の財産にあっても寄付についての制限を設けるなどは検討すべき。
お布施や寄付を強要しない。個人でする場合は収入の10%までで、それ以上の寄付は禁止、といった具合で、宗教に関する法律やルールを作るタイミングかもしれません。
安倍元総理を撃った山上容疑者と僕は、同い年の41歳。就職氷河期のど真ん中世代です。京都アニメーション放火殺人事件の犯人も同じ世代。この世代が抱える孤立からくる精神状況と、落ちてしまうと這い上がりにくい経済環境の問題解決にも、国は本腰を入れるべきでしょう。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。