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会社員を辞めてNPO法人を立ち上げたいと考えていますが、周囲が止めます。まずはNPO法人がどんな団体なのかきちんと把握しろ、ということ。怪しい面もあると揶揄されます。私は42歳。内緒ですが崇高な目的があるので、なにがなんでも進めたい。議員視点からアドバイスを下さい。
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何をやっているかわからないNPO法人はゴマンとあります。NPO法人を立ち上げたがる風潮が湧き起こったのは20年ほど前でしょうか。
社会的な活動をメインにし、お金は二の次だ、というイメージがありますが、管轄の内閣府のウェブサイトには「NPOとは『Non-Profit Organization』又は『Not-for-Profit Organization』の略称で、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称」とあります。
令和3年6月からは「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律」が施行。これにより提出書類が簡素化され、設立の迅速化、個人保護の強化、事業報告書や役員名簿の閲覧期間の変更などが行われました。
東日本大震災や熊本大地震などの経験を踏まえ、災害に関するボランティアをより素早く行えるようにする面もありますね。
もちろん、災害関連だけではありません。
「フローレンス」という認定NPO法人があります。病児や障害児の保育、小規模保育のための法人なのですが、その代表者は、学生の頃からの知り合いです。
その後、僕が日本生命に就職した後に、再会。IT企業の社長としてバリバリ働いていた優秀な人物で、学生時代から殊勝な考えの持ち主でした。「僕はいつか、社会に貢献したい」と口にする、超ド直球に社会問題と向き合っていましたね。
僕が議員になって育休をとった頃に、二度目の再会。既に「フローレンス」を立ち上げ、大活躍されていました。
このように真面目にやっているところと、別企業の利益のためにNPOを看板にして支援金を引っぱっているような、悪質なNPOもあると聞きます。ウエブで「NPO法人」と検索すると、キーワード上部に「ヤバい」の文字が出るのは、何をかいわんや。開示された閲覧団体の中には、収支報告がめちゃくちゃだったり、上層部がなんとなく儲かっていたりするものもあります。うわべだけの自然保護団体であることに悩む声も聞こえてきます。
ただ、NPO法人の良し悪しが見えにくいのも現状。この団体と付き合っていいのか悪いのか、国が判断してくれたらいいのに。
が、これは子供の友達を親が判断するようなものかもしれません。親が「あの子と付き合っちゃいけません」と言えば、子は「なんでそんなこと言われなきゃいけないんだ」と反発する。結果、子供が悪の道に行ってしまったら、ほれ見たことか、となりますが。
であれば、過去に問題があった、あるいは外部スタッフに危ない人物がいるのに公式に明かしていない、というNPOは、国が調べて開示すべきです。
志がしっかりあれば、誰がなんと言おうと、立ち上げるべきです!
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。