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お酒の席で安倍元総理の国葬の話題になり、会社の上司と対立。自分の主張をしただけで怒られました。上司は与党、自分は無党派です。政治家を経験した宮崎さん、そうした場面で、相手を刺激せず自分も「被害」を受けない論法みたいなのはないですかね。
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政治の中枢に陳情するような話ではありませんが、世の中にとって大事なテーマだと、僕は思います。「酒の席で政治と野球と宗教の話はするな論」というのがありますね。
これは議員同士もそうです。僕が議員時代、地元回りをすると、キョーレツな政治オタクが集まってきました。当然、反自民の人は「オマエ、宮崎だろ。今の自民、そんなんでいいのか!」的な物言いで絡んできます。僕は受け流した方がラクと考えるタイプですが、真に受けて反論する政治家もいました。
飲んでいると白熱して、思いもよらぬ展開になってしまうのは、誰もが経験済みでしょう。議員はそこでグッと堪えないといけませんが、堪忍袋の緒が切れて、有権者を罵倒してしまうことも。もう、これはしょうがない。人間だもの。
自分の生活や働く環境に不満がある人が、政治の話で絡んでくることが多いと考えます。自分に余裕がある人は、無関心。面白いもので、高級住宅街の住民調査で「政治に関心がありますか」というアンケートをとったら「政治なんてどうでもいい」という答えが多かったそうです。
このことから察するに、この上司は余裕がなくて気の毒なのでは。なので「ふんふん、そんなに生活に不満があるのか」と考えて、自分の意見は言わないようにする、というのはどうでしょうか。声に出しちゃダメですよ。出せばさらにケンカになりますから(笑)。
僕も20代の頃は、友人と何か討論になったあげく、お酒の席でケンカをしたことが何度かあります。30代でほぼなくなり、40代では皆無です。理由は、自分のことをわかっているから。ネットでさんざん悪口を言われているし、それを理解もできています(苦笑)。
好き嫌いあるよな、考え方だって違うよな‥‥自分と他人の考え方は決して同じではない。それはパスタが好きか、ラーメンが好きかの趣味嗜好なので、どうぞ僕を批判して下さい、という気持ち。世の常なのです。阪神ファンと巨人ファンが飲むとモメる、といった感じで。でもそこはスポーツの世界、なんとなく尊重し合えるようですが、政治と宗教には、尊重はあまりなさそうです。
最近、知人女性から聞いた話ですが、韓国料理屋で「韓国の徴兵制はナンセンスだから、撤廃すべき」と口にしたら、店主がいきなり「徴兵制は大事なんだよ!」と、彼女を店外へ放り出したんだとか。その時の後悔がお酒を飲むたびにリフレインして、酒席での話題には気を付けるようになったといいます。
そんな感じでその上司も痛い目にあって後悔し、政治の話で興奮しなくなってくれたらいいんですが。
とはいえ、むしろ政治に熱くなるなんていいことなのですが、猫も杓子も政治家も、酔ったらみんな突っかかってくると考えましょう。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。