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宮崎さんは確か、安倍チルドレンではなかったでしょうか。今回、安倍元総理が銃撃されたこと、この銃社会ではない日本でそんなことが起こったという事実を、どのようにお考えになりますか。日本が安全な国ではなくなっている気がしています。
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7月11日に行われたお通夜に、私も参列してきました。大勢の弔問客、そしてたくさんのテレビカメラがあり、安倍さんの存在がいかに大きなものだったのか、考えさせられました。
安倍さんは歴代最長の在任期間を記録した総理であり、数々の実績を残しています。第2次安倍内閣では、さらに存在感を増しましたね。アベノミクスを知らない国民はいないでしょう。
また、地球儀を俯瞰する外交と銘打って、他のどの総理大臣よりも、外交に力を尽くしてこられました。
私はかねてより、国会議員の役割は2つあると考えていました。ひとつはマクロ経済、もうひとつは外交です。極端なことを言うと、それ以外のことは国会議員でなくても役割を果たすことができるのです。
裏を返せば、この2つは国会議員でしかできない仕事。これを国のトップとして徹底的に推し進めたのが、安倍さんでした。
銃撃した犯人は41歳の無職男性ですね。特定の宗教に対する恨みがあったと報道されています。政治的なところでの恨みではなく、宗教的なことから発生する恨みというのは予想外でした。
母親を崩壊へと導いた個人的な怨恨からくる犯行ということですが、安倍さんが標的になってしまうまでの経過をもっと知りたいものです。
安倍さんからその宗教団体に送られたビデオメッセージもメディアに出てきておりますが、もしかするとこれからもっと、根深い彼の闇が掘り起こされるかもしれません。今のところ、彼の心のメカニズムは、私には理解できませんが。
僕はこう想像しているんです。犯人が社会的孤立と経済的不安を抱えていたことを。将来に対する夢も希望も持てなかったということを。こういったテロが起きると、これは単なる社会のバグとして片付けてしまってはいけない、と思うのです。
大抵の事件は、どこか理解できない凶悪犯の仕業として終わってしまっていますが、その背景に何があったのか、どのような社会問題が潜んでいるのか、これを徹底的に分析し、解決していかなければ、第二、第三の犯行が起こってしまうかもしれません。
安倍さんという大きな存在の損失をそのままにせず、幅広く多角的な視点を持って検証するチームを作ってほしいですね。
銃社会ではない日本で、銃による殺害事件が起こったことは、異例だとは思います。この件は再度、取り上げさせて下さい。
誰よりも日本を愛し、日本のために戦い続けてきた安倍さんが凶弾に倒れたことは非常に残念だし、しばらく胸に穴が空いたような喪失感を拭えないかもしれません。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。