木村名誉教授が語る。
「これまでは、チリ付近の大地震から1~6年後、平均すると4年後あたりに日本付近の巨大地震が発生しています。すなわち、15年から20年頃の日本付近の地震に要注意ということになりそうです」
とすると、東京オリンピックの年までに巨大地震が日本を襲うことになる。オリンピック開催で沸き立っている日本に、自然現象は容赦なく襲いかかってくるというのだ。
島村氏が続ける。
「太平洋プレートは全体が同時に活発化する傾向にあります。ニュージーランドでは11年2月にM6.1のクライストチャーチ地震が発生しましたが、昨年もM6.6の大地震が起きた。また、昨年M7クラスのスロー地震(被害はもたらさないほどゆっくりした地震だが、大地震の前兆となりうる地震)も起きている。南海トラフ地震に影響するフィリピン海プレートでは、昨年6月に台湾でM6.3の地震が発生しました」
一方、南海トラフ地震の震源域である九州・四国の地盤に異常が出ていることは、測量学の世界的な権威である東大名誉教授の村井俊治氏も警告している。国土地理院が全国1200以上に設置している電子基準点の動きを分析。東西南北への水平方向の変動や上下方向の隆起・沈降も観測して、異常がないかどうかを調査した結果、南海トラフ地震の震源域で異常が発生しているというのだ。村井氏は先頃起こった伊予灘地震も予測、的中させたうえで、南海トラフ地震の警戒を呼びかけている。
活発化するフィリピン海プレートといい、南海トラフ地震は秒読み、の感がますます強まってくる。
木村氏は、伊豆・小笠原諸島近辺で地震の空白域が危ないと予測。小笠原といえば、小笠原諸島の一つ、西之島の巨大化が進んでいる。そもそも西之島の火山活動が始まったのは1974年。小笠原諸島付近は、太平洋プレートがフィリピン海プレートに潜り込む境界付近に当たる。
木村氏は、
「西之島の火山活動は巨大地震の前兆現象」
と見ていると言い、こう続ける。
「地震が発生すれば、M8.5クラスの巨大地震になるでしょう。本州の場合、地震動はさほどでもないが、本州の太平洋側や琉球列島などの離島には巨大津波が押し寄せる。国は南海トラフ地震の警戒を呼びかけ、関東以西は津波対策をしていますが、離島はノーガードですから心配ですね」
参考までに言えば、東京湾に津波が入ってきても、浦賀水道でエネルギーが減衰されるため心配はないというのが通説だ。が、入射角しだいでは10メートルクラスの津波に襲われることも予想される。