11年に発生した東日本大震災では巨大津波が起こり、福島第一原発事故を引き起こした。その時、「想定外」という言葉が繰り返し使われたことは記憶に新しい。
未曾有の震災が「起こる」という警告を「狼少年」のように受け取らず、防犯意識のきっかけとして受け取るべきだという教訓を得たのではないだろうか。
地震と火山の予測を行ってくれたのは、木村政昭琉球大学名誉教授である。
86年の伊豆大島三原山大噴火、91年雲仙普賢岳大噴火、95年兵庫県南部地震、04年新潟中越地震等を事前に予測して的中。07年太平洋学術会議で東日本大地震の可能性を予測し、公表した人物だ。
ところで、気象庁はHPで地震予知についてこう解説している。
〈東海地震は、現在日本で唯一、直前予知の可能性がある地震〉
つまり、東海地震以外は予知ができないと白旗を上げている状態なのだ。一方で数々の地震予知を成功させた木村氏。着目したのは、これまで巨大地震が発生していない「空白域」で起こる小地震だ。小地震が頻発する場所を「地震の目」と名付け、「目」の近くで巨大地震が起こるという理論である。プラス・マイナス5年という地球規模ではピンポイントとも言える予測をする木村氏が警鐘を鳴らしているのは、青森県東沖である。
「地震の目ができています。14年8月10日にM6.1の地震が発生しました。大地震はマグニチュード(以下M)6.5としているので、M6.1は本震と呼ぶには、少しもの足りない。8月の地震が前震であるという可能性を捨て切れません」(木村氏)
発生予想は19年プラス・マイナス5年。つまり今年はその予想範囲に入っているのだ。
もう一つ木村氏が警鐘を鳴らしているのは富士山の噴火である。木村氏は戦後最大の被害者を生み出した昨年9月の木曾御嶽山の噴火予想を的中させた実績を持っている。
火山爆発の予知に用いるのは、「噴火の目」と呼ばれる現象だ。火山ではマグマが存在する領域に「火山性微動」と呼ばれる体に感じない地震が発生している。それが急激に増加する時期を「噴火の目」と名付けているのだ。富士山には顕著な「噴火の目」が表れているという。
「他の先生は全然そう見ないよとおっしゃっていますが、はっきりした現象が出ています。ただ水蒸気が出るという規模ではなく、ことによるとマグマが地上に流れるようなタイプの噴火があってもおかしくない傾向を表しているように見えます」(木村氏)
その時期は14年プラス・マイナス5年。はたして、その危険性の確率は‥‥。