昨年開催された「東京五輪2020」で今も印象深いのは、国立競技場内の聖火ランナーの元女子レスリング・吉田沙保里氏と柔道五輪3連覇の野村忠宏氏が、長嶋茂雄氏、王貞治氏、松井秀喜氏にトーチキスをしたシーンだろう。
だが、このメンバーの中で、野村氏だけが国民栄誉賞を受賞していない…。
「なんで野村さん、もらえへんねん!」
と憤りを見せたのは、MLBでも活躍した元巨人・上原浩治氏だ。8月12日、自身のYouTubeチャンネル〈上原浩治の雑談魂〉に野村氏を招いてのことだった。
96年「アトランタ五輪」で初の金メダルを獲得した野村氏。大功績には違いなかったが、野村氏は冷静にこう振り返るのだ。
「その上を行く、ヤワラちゃんがいる。同じ日にヒーローは2人いらんからさ」
ヤワラちゃんこと、田村亮子(現、谷亮子)は、この五輪で銀メダルに終わった。だが、翌日の新聞には、
「田村、まさかの銀。野村、まさかの金」
と書かれたのだった。しかし、野村氏は今も前向きに捉えているようで、
「講演に行ったときに、このフレーズがいちばんウケるのよ。(中略)その当時はムカついたけど、今となってはいい思い出であり、ネタになる。いいネタになるのは、だいたいヤワラちゃん絡みね」
ちなみに、国民栄誉賞の第1号は、通算本塁打が世界記録を更新した王氏(77年)。柔道家では、84年のロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した山下泰裕氏が第1号だが、以降、柔道家からは選出されていない。
(所ひで/ユーチューブライター)