オリンピック柔道3連覇。アジア人初となる輝かしい記録を残した男が、畳を去る──。
8月24日、柔道家の野村忠宏が公式サイトで29日の全日本実業個人選手権を最後に引退することを発表した。96年のオリンピックアトランタ大会から3大会連続の金メダル獲得以降ケガに苦しみ、悩み抜いた末の決断だった。
ネット上には野村に対するねぎらいと感謝の言葉が書き込まれ、その中には数多くの「野村に国民栄誉賞を!」の声もあった。
「ボストン・レッドソックスの上原浩治がブログに『なぜ国民栄誉賞が野村さんに渡らないんだろう? いまでも思ってます』と記し、それがニュースになったことでますますムードが高まっています。日本のお家芸とはいえ、五輪3連覇は偉大な記録。十分にその資格はあります」(スポーツ紙記者)
また、政治的な観点からも受賞の可能性は高いという意見も。
「国民栄誉賞は、政権の支持率が下がった時に授与されることが多いんです。安倍政権はまさに今そのタイミング。20年の東京オリンピックに向けての動きも、競技場やエンブレムの問題で国民がシラけ始めていますからね。あらためてオリンピックへのムードを盛り上げる意味でも、この話には乗っかりたくて仕方ないのではないでしょうか」(政治部記者)
政治利用されることには遺憾の意を表明したいところだが、純粋に野村の柔道人生を称える意味で、国民栄誉賞は贈られるべきではないだろうか。