日本オリンピック委員会(JOC)が、山下泰裕会長の再任を決めた。
山下氏の任期は2年で、これで3期目に入る。これで来年のパリ五輪もJOCは山下体制で乗り切ることになったわけだ。続投に向けた抱負を6月29日の会見では、
「スポーツ界の信頼回復に努めるとともに、東京大会(五輪)のレガシーをしっかりと根付かせたい」と語った山下氏。1984年、27歳の時に国民栄誉賞を受賞した日本柔道界のレジェンドだが、JOC会長としての評価と実績は低い。JOC担当記者はこう吐き捨てる。
「山下会長がこれまでの任期で唯一、決めたことといえば、完全公開だったJOC理事会を完全非公開にしたことぐらいじゃないですか」
2019年9月から「マスコミの前では話せないことが多く、(JOC)理事会の議論が低調になる」などと山下氏は頑なに完全非公開にこだわり、今もそれは続いている。
また山下体制のJOCは競技団体の不祥事のオンパレード。21年には山下氏が会長職を兼務していた全日本柔道連盟で幹部職員のパワハラが発覚し、バレーボール協会役員による診断書偽造、昨年は日本バドミントン協会による横領事件などが起きた。さらに山下氏自身が組織委員会副会長を務めた東京五輪では汚職まみれの実態が明らかになっているが、
「東京五輪がコロナで1年延期が決まりましたが、この時、山下会長は日本政府との延期協議の場から外されています」(前出・JOC担当記者)
と、その存在感は薄くなる一方なのだ。
JOC前会長の竹田恒和氏は11年にJOCが公益財団法人に移行したことで月額130万円(年間1560万円)の報酬が公表されている。JOCの定款で「常勤役員の報酬表」の最高額を見ると月額150万円(年間1800万円)で、山下氏はこれに該当するとみられる。この報酬に見合った「仕事」をしているのか。しっかりチェックすべきだろう。
(小田龍司)