西側諸国との冷戦を終わらせた旧ソ連最後の指導者、ミハイル・ゴルバチョフ元大統領が8月30日、病気のためモスクワで死去した。享年91歳。
ゴルバチョフ氏は1991年4月にソ連の元首として初来日し、当時の海部俊樹首相と「日ソ共同声明」を交わすなど、日ソ関係に貢献。ノーベル平和賞を受賞するなど特に外国で高く評価された。
ゴルバチョフ氏は生前、プーチン大統領の下で「権威主義体制」が強化されていることに強い危機感をにじませており、「悲劇的な事態が発生する可能性があり、すでに悲劇は起きている」と警鐘を鳴らしていたが、その言葉通り、プーチン氏の手によってウクライナ侵攻が始まってしまった。
「ゴルバチョフ氏は共産党独裁体制を立て直す『ペレストロイカ(改革)』を推進し、東西冷戦を終結に導きましたが、ロシア国内では必ずしも評価が高いわけではありません。特にプーチン支持者からはロシアの国益を害した人物として認識されています。ウクライナ侵攻についてもかなりプーチン氏を批判していましたから、一部の陰謀論者からは、『プーチンに暗殺されたのではないか』という声も上がっていますね」(政治ジャーナリスト)
ロシアのペスコフ大統領報道官は30日、プーチン氏が「深い哀悼の意を表した」と発表している。さすがに「暗殺説」は飛躍しすぎのような気もするが、目的のためには手段を選ばないプーチン大統領なら、もしかして…。
(ケン高田)