その川田を17勝差で追いかけるのが横山武史だ。
「上半期の重賞でたびたび人気を裏切っていましたが、19~20年の勝率13.1%、3着内率31.8%に対して、今年は勝率18.0%(同42.4%)と、順調にステップアップしています」(伊吹氏)
8月13日・14日の札幌では、7勝の固め打ちで北のファンを沸かせた。
スポーツ紙美浦担当記者が話す。
「武史騎手の魅力の1つが波に乗ると“無双状態”になるところ。その日は、ルメール騎手とともに世界選抜に選ばれた『シャガーカップ』(英国)から帰国後のレース。海外で初騎乗したことがうれしかったようで、ノリにノッていた」
スタートセンスは抜群で、前付けからのポジション取りで馬の力を存分に引き出し、勝ち鞍を量産しているが、馬の血統からも狙いどころが見えてくる。
「20年以降、父がディープインパクト系種牡馬の3着内率が38.4%、複勝回収率は90%。また、父がロベルト系種牡馬(モーリス、スクリーンヒーロー、エピファネイアなど)であれば、今年に限ると3着内率は51.9%(同92%)と、かなり手が合う血統と言えるでしょう」(伊吹氏)
中山では芝・外1200メートルの3着内率が50%(20年以降)と好成績をあげている横山武。ここは血統と組み合わせてガッポリ儲けたい!
川田と横山武が初の最多勝利騎手を目指す中、マイペースで追走するのがベテランの戸崎圭太だ。13年にJRAに移籍した翌年から3年連続でリーディングジョッキーに輝くも、19年11月に落馬で重傷を負い、近年は成績を落としていた。
「20~21年の3着内率は34.4%止まりでしたが、今年は39.6%。5月以降だと41.8%にまでアップしています。最も安定していた16~17年が43.0%ですから、当時の水準に戻りつつあります。注目は若手調教師とのタッグ。今年の調教師別勝利数を見ると、開業5年目の田中博康調教師の管理馬で11勝をあげ、3年目の宮田敬介調教師の管理馬でも10勝をマークしています」(伊吹氏)
その背景を美浦担当記者がこう分析する。
「両調教師ともノーザンファームとパイプが太いことも好成績の要因でしょうが、『馬本位主義』の育成スタイルにおいて、戸崎さんと気が合うのだと思います。ソフト調整の馬を気分よく走らせるという点では、戸崎さんは最適。8月7日の新潟10R(芝2000メートル)でも勝ったラーグルフのスタッフが『中団での折り合いは完璧だし、1頭分あいた内ラチ沿いから、スルスルと抜け出してきた』と感嘆されていました」
東の騎手では、基本的に田辺裕信(38)が54キロ、横山武が53キロと斤量制限する中、戸崎は52キロでも乗れるため、秋の中山開催でも有力馬が集まりそうだ。
「特に中山芝・内2000メートルでの活躍が顕著です。3着内率は44.4%で複勝回収率が110%(19年以降)。昨年の中山金杯で単勝30.7倍(11番人気)のウインイクシードを3着に持ってきたように、上級条件でも注目したいですね」(伊吹氏)