芸能人と遜色ない存在感を放つキー局の女子アナたちも、実際はいち会社員である。一般企業と同様、社内で激しいつばぜり合いを演じ、いかにして勝ち残ってきたのか。
入社以来、40年近く経つが、まさに絵に描いたような出世を遂げてきたのは、日本テレビの木村優子アナ(61)だ。若い頃よりバラエティー番組から報道番組まで幅広く活躍し、その後は報道局解説委員や広報局宣伝部次長、コンプライアンス推進室視聴者センター部長など要職を任され続け、10年からアナウンス部の部長に就いた。同局の番組スタッフが語る。
「実績に加え、氏家齊一郎元会長の寵愛を受けていたことで出世コースを歩んできました。一方、アナウンス部長時代は絶大な権力を持ち、部下への指導の厳しさから『女帝』と呼ばれていた。西尾由佳理アナや宮崎宣子アナらの退社ラッシュがあった時は、木村部長との軋轢も噂されました」
14年6月に他部署への異動が発表されると「女帝も都落ちか?」と局内外で話題となったが、その後も同局の関連会社である株式会社J.M.Pの代表取締役社長や株式会社日テレイベンツの専務取締役などを務めた。
「アナウンス部長を退いてからも、アナウンサーを育成する『日テレ学院』の学院長を任されるなど、その指導は厳しいながらも評価はされていた。女子アナの過度なタレント化には反対する立場の人ですね」(番組スタッフ)
「女子アナたるもの」を体現するがゆえの出世街道か。
続いて、フジテレビの西山喜久恵アナ(53)も着実に地位を築いてきた。フジ黄金期を支えた女子アナの1人だが、今なお番組への出演を続け、今夏にはアナウンス室の局次長職に昇進している。
女子アナ評論家の丸山大次郎氏が言う。
「バラエティーやスポーツ、報道など何でもしっかりとこなし、番組に出続けられる存在感や実力を考えれば出世するのも当然かと。50歳を超えたアナウンサーがテレビに映って『あっ、きくちゃんだ!』と自然に思わせるのは、すごいことだと思います」
5位にランクインのTBS・江藤愛アナ(36)は昨年、入社12年目にしてエキスパート特任職トップスペシャリストの座に就いている。
「若手の頃は同期の田中みな実アナの陰に隠れていた印象はあるものの、堅実に実力を蓄えてキャリアを積んできました。落ち着いたアナウンス力や進行のうまさは、まさに縁の下の力持ちを地で行くタイプ。それが認められて、彼女の年齢では異例となる課長職相当に抜擢されました。偉業だと思います」(丸山氏)
6位の日テレ・水卜麻美アナ(35)も同様に出世が早かった。19年、30代前半にしてアナウンス部で副課長待遇の副主任に昇格。丸山氏が語る。
「大食いロケで知名度を上げて、バラエティー番組での活躍も知られていますが、進行や仕切りだけではなく、アナウンス力やナレーションなど総合力の高い実力派でもあります。原稿を噛むことはなく、テンポもいいですし、番組をうまく回しながら、引くところは引いて出るところは出る。硬軟両方を任せられます。日テレは女性が出世できる環境でもあり、未来のアナウンス部長も期待できそうです」
ところで、ランキングには入っていないが、先の木村アナのように、他部署で功績を上げて成功するケースもままある。フジでその傾向がよく見受けられるようで、春日由実元アナ(47)が広報部部長、藤村さおり元アナ(49)が経済部部長、森本さやか元アナ(44)が人事部部長の要職に就いている。
18年に竹林不倫が発覚した秋元優里元アナ(38)も、翌年に部署異動を経験しているが、海外ドラマのプロデューサーとして活躍。現在は編成制作局編成ビジネスセンターグローバル事業部主任という肩書が付いている。女子アナの出世争いに明るい、ライターの張本茂雄氏によれば、
「不倫後に出世とはなかなか珍しい。和泉洋人元首相補佐官との『コネクティングルーム不倫』で有名になった厚生労働省の大坪寛子審議官ぐらいですよ。大坪氏はコネクト不倫後もお相手の威光もあってか、絶大な権勢を握る厚生労働官僚として、コロナ対策も担当しました。そう考えると秋元アナが現在も出世街道を歩んでいるのも、不倫相手の社内政治力が強かったからでしょうか」
局のために身を粉にして働けば、出世コースは様々に用意されているようだ。
■局内出世ランキング
1位:木村優子(日本テレビ)10年にアナウンス部長に昇進すると、日テレ学院長、J.M.P代表取締役社長など関連会社の要職を歴任
2位:西山喜久恵(フジテレビ)フジ女子アナ黄金時代を経て、並みいるライバルたちを差し置き、アナウンス室局次長職に君臨して現役で活躍
3位:大下容子(テレビ朝日)20年、役員待遇のエグゼクティブアナウンサーに昇格。冠番組「大下容子ワイド!スクランブル」も放送中
4位:井田由美(日本テレビ)入社以来、報道畑で長らくキャスターとして活躍。13年にアナウンス部専門部長に就任。定年後も在籍し、現役
5位:江藤愛(TBS)21年、社歴12年目にしてエキスパート特任職トップスペシャリストに昇進。女性アナとしては異例の早期出世
6位:水卜麻美(日本テレビ)独立が囁かれ続ける中、19年、副課長待遇の副主任に就任。朝の情報番組で女性として初の総合司会を務める
7位:小川知子(TBS)同僚が相次いで退社する中、報道中心に活躍し、NY支局も経験。21年、部長に昇進してアナウンス業は休止
8位:森田美由紀(NHK)公共放送の看板たるニュース番組のキャスターを歴任。エグゼクティブアナウンサーの局次長級に上り詰めた
9位:下平さやか(テレビ朝日)スキャンダル報道にもめげず、エグゼクティブアナウンサーの担当部長まで昇進。15年に長野久義と結婚した
10位:鈴江奈々(日本テレビ)若手時代はアイドルユニットを組まされ、その後はスポーツ、報道とバランスよく活躍した。報道担当副主任に