リスクを恐れずにテレビ局社員という安住の地を離れた末、世間も驚く大成功を収めた女子アナたちがいる。独立美女たちの成功譚を振り返ろう。
数多い退社組の中でも、政界への華麗なる転身を遂げた元テレビ朝日の丸川珠代氏(51)は目を引く。
丸川氏は93年に入社すると東大出身の美人アナとして頭角を現した。それが07年に一転。当時の安倍晋三首相の意向により、自民党から参院選に出馬すると見事に初当選したのだ。
15年に環境大臣兼内閣府特命担当大臣で初入閣すると、オリンピック・パラリンピック担当大臣や自民党広報本部長などの要職を歴任し、女性議員の中でもひときわ存在感を放っている。
ちなみに、局アナ時代の98年に同局プロデューサーとの不倫疑惑が浮上したが、同局局員はこう話す。
「とにかく局上層部のウケがよく、局内では無類のオヤジ殺しとして名を馳せていました。その後のニューヨーク勤務も、不倫騒動によるバッシングから守るために上層部が温情措置を取ったなんて噂も流れた」
当時から実力者にかわいがられるという、政治家として大成する片鱗を見せていたようだ。
「テレ朝時代はクール系美女として活躍しました。情報番組のロケでたこ焼きを食べて、熱さで喉をヤケドしながらも食レポをやり切り、病院に搬送されて入院したエピソードが印象深い。この根性があるからこそ、政治家として成功したのではないでしょうか」(丸山氏)
この先、政治家としてどこまで飛躍するのか気になるが、息の長い活躍といえば、NHK出身の女優・野際陽子さんにはかなわないだろう。
17年に81歳で亡くなった野際さんは、初代「ミス立教」に選ばれるなど学生時代からその美貌が知られ、58年にNHK入局。同局きっての美人アナとして約4年間活躍後、フリーアナの期間を経て女優に転身したのだ。
芸能ジャーナリストの竹下光氏がその功績を称える。
「テレビ局の局アナが若くして独立することは、当時珍しく、フリー女子アナの先駆者とも言われます。女優転身後には憧れだったパリ留学を果たしますが、帰国した際に着用していたミニスカートが大流行したことから、今で言うファッションアイコン的な存在でもあったのです」
野際さんに追随するアナ出身女優として、丸山氏が名前を挙げたのは田中みな実(35)である。
「女優として成功したと言えるアナウンサーは、野際陽子さんが筆頭で、それ以降も女優業をやった方はいましたが、成果を出したとは言い難かった。そういう意味で、久しぶりに野際さんに迫るかもしれないと思えたのが田中です。局から求められたブリッコキャラをしっかりこなし、辞めてからは美の伝道師的な感じでセルフプロデュースするなど、そもそも女優向きだったのかもしれませんね」
すでに主演映画も公開された田中だが、写真集のバカ売れやCM出演、アパレルブランドとのコラボなど、収入面でも荒稼ぎ状態だ。
異色の転身といえば、元フジテレビの菊間千乃(50)は、今や弁護士として多くのテレビ番組に出演している。
「逆転劇」だと感じるのは、退社までの経緯があるからだろう。局アナ時代の05年7月、番組で共演していたジャニーズグループの未成年メンバーと同局スポーツ局社員との食事会に参加。未成年に飲酒を勧めたとされて全番組を降板することに。張本氏は憤る。
「これは完全に貰い事故で、スタッフが悪い。菊間は当時から上下関係を感じさせないフランクな進行が好評で、フジを背負って立つ逸材でした。ところが、ジャニーズファンからのバッシングにフジが屈した感じで、全番組を降板するという憂き目に遭った。それをバネに司法試験に合格し、フジの顧問弁護士になったのですから、リベンジでしょうね」
さて、10位の仲條亮子氏(54)の名前でピンと来た方は多くないかもしれない。彼女はテレビ東京の元契約アナウンサーで、現在はキリンホールディングスの社外取締役やYouTube日本代表、Googleの執行役員などを歴任する、立身出世を絵に描いたような人物なのだ。丸山氏も舌を巻く。
「テレ東でのアナウンサー歴は2年ほどと短いですが、その後に米系金融経済情報通信社のブルームバーグテレビジョンの日本語向けテレビ放送部門に入社。97年に日本語放送を行う日本法人の社長に抜擢されます。退社後も様々な大手企業で存在感を放っていますが、経歴だけ見ればこれだけ華々しい活躍の元女子アナはいないでしょう」
フリー女子アナ戦線が激化する昨今だが、偉大なる先人たちを超える女傑は生まれるだろうか。
■独立出世ランキング
1位:丸川珠代(元テレビ朝日)07年、参院選に出馬して初当選。15年に環境大臣で初入閣すると、東京五輪ではオリンピック担当大臣も務めた
2位:野際陽子(元NHK)アナ出身女優として50年以上も活躍。「キイハンター」「ずっとあなたが好きだった」などのヒット作に出演
3位:有働由美子(元NHK)18年にNHKを退社すると、「news zero」のキャスターとして現在まで不動の地位に。年収は4億円超とも
4位:田中みな実(元TBS)19年発売の写真集が空前のヒットを記録。美のカリスマに君臨し、女優としてもすでに映画で主演を果たした
5位:竹内香苗(元TBS)12年、夫のブラジル赴任同行で退社。帰国後の20年、SBIホールディングス独立社外取締役に異例の就任
6位:小川彩佳(元テレビ朝日)古巣で干されかけていた19年に退社し、前出演番組の裏となるTBS「news23」メインキャスターの座に
7位:菊間千乃(元フジテレビ)未成年アイドルとの飲酒問題で謹慎後、07年に司法試験合格を目指し退社。見事合格し、弁護士として各局に出演
8位:木場弘子(元TBS)07年の内閣府「規制改革会議」委員を皮切りに、農水省、内閣官房、国交省、環境省、文科省など省庁の委員歴任
9位:魚住りえ(元日本テレビ)11年より「魚住式スピーチメソッド」を開始し、説得力ある話し方を講義して好評を博す。著書は5冊にも及ぶ
10位:仲條亮子(元テレビ東京)89~91年までの契約アナで例外だが、現在はYouTube日本代表、Google執行役員などを務めている