10月1日に心不全で死去したアントニオ猪木さん(享年79)の当時をよく知る元猪木番記者がかつてを振り返った記事に、違和感の声が上がっている。その内容は「アントニオ猪木がいちばん好きなのは2番目の妻、倍賞美津子さんだった」というものだ。
具体的なエピソードはある。生前の猪木さんは倍賞の悪口を言わず、「いい女だった」とか「感謝している」などと、いろいろなところで褒めちぎっていた時期がある、というものである。
そしてここからが記者の想像で、「だから誰と結婚しようが、本当に好きなのは倍賞美津子だったのではないか」、つまり4回結婚した中で最も好きだったのは倍賞、と思わせる結論だ。いろんな顔を知る記者だからわかる、とも綴られていたが、実生活の1割も一緒に過ごすことのない他人に、人の心の中を推し量れるものなのだろうか。
多くの女性の反感を買っているのは、そこである。「相手によっても愛の表現方法は変わる」「情熱的だからといって、それが一番だったとは限らない」「そりゃあ、別れた女性の悪口なんて、しかも、有名人なんだから言わないだろう」「歳を取るにつれて、情熱的よりも理知的だったり、悠然的な愛に変わることもある」という主張だ。
猪木さんが亡くなってしまった今、本当の気持ちを聞くことはできない。あれやこれや気持ちを決めつけるべきではないし、少なくとも、人の愛の形である。そっと安らかに、眠らせてあげてほしい。