スポーツ

「猪木VSアリ」38年目の死闘“新”事実!(4)様々な問題をくぐり抜けいつしか二人は友人に…

20140710j

 もちろん、猪木と新日サイドも「こういう事態になったのはアリ側の強引なルール変更が原因でまともな試合ができなかったため」という理由で損害賠償を求めた。

 新間氏はアリのマネジャーのハーバート・モハメドと交渉するため、英語の堪能な弁護士と渡米した。

 辣腕弁護士はハーバート・モハメドと相手方弁護士を前にこう畳みかけた。

「日本経済はどんどん成長している。損害賠償の金額の価値はどんどん下がっていくだろう。我々は何年かかってもかまわない」

 そこで新間氏はモハメドに、切り出した。

「弁護士を外してくれ。うちも外すから」

 サシで向かい合った辣腕マネジャーに新間氏は忌憚なく言った。

「私の父は仏教者だ。日本を発つ際、『相手に心で語れ、心の耳で聞け、心の目で見ろ』とアドバイスされてきた。我々は今、どん底の状況を味わっている。手を差し伸べてくれるのはあなたしかいない」

 新間氏は新日本プロレスと猪木の窮状を率直に語った。世紀の戦いの末、猪木はかつてない逆風に見舞われていた。社長を務める新日本プロレスの試合も客足が極端に落ち、キャッシュも底をついていた。

「新間、キミは何を望んでいるんだ」

 ハーバート・モハメドは尋ねた。そこで新間氏は「裁判を取り下げてほしい」と頼んだ。そればかりか、猪木夫妻をタイトルマッチに招待するとともに、エキシビションマッチをやってくれるよう請うた。

 ハーバート・モハメドの答えはOK。即答だった。そして目の前の受話器を取ると、アリに電話し、新間氏に受話器を渡して、全て解決にこぎつけた。

 その結果、アリ・猪木側双方とも訴訟を取り下げ、未払い金の120万ドルを放棄する示談は成立。

 その後も真剣勝負という修羅場をくぐり抜けたアリと猪木は、かけがえのない友人になり、タイトルマッチや結婚式に新間氏も含めて招待するようになった。アリがテーマ曲の「アリ・ボンバイエ」を猪木にプレゼントし「イノキ・ボンバイエ」が誕生したのもあまりにも有名なエピソードだろう。藤原が言う。

「真剣勝負というのは往々にして、ああいう膠着状態になるもんです。でもね、猪木さんは試合前1カ月は酒も断っていた。そのあまりの形相に俺も心配になり、練習後、グラスも冷やした、よく冷えたビールを出したら、猪木さんはニッコリ笑って、うん、半分だけなと言ってうまそうに飲んだ。あの試合はね、まさしく負けたほうが全てを失う、命がけの真剣勝負だったんです」

 当時32歳だった猪木と34歳のアリの全盛期の雄姿は、いつまでも色あせることはない。

(一部敬称略・了)

カテゴリー: スポーツ   タグ: , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」
5
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」