4月30日に前立腺ガンで亡くなった作家の渡辺淳一氏。享年80歳。渡辺氏は最後までダンディで華があった。そして「かっこ良さに男の美学を感じていた」(女優・黒木瞳)と生涯モテモテ。長年の健康と若さの秘密は”日々是好色”だったともいわれる──。
前立腺肥大や前立腺ガンは男の、しかもシニアの病気だ。厚労省の調べによれば人口10万人あたりの罹患者は104.2人(うち死亡者18.2人)。
しかも高齢化に伴って急増。男性ガンの中で増加率トップ。2020年には1995年の約6倍にものぼると見られているのだ。
前立腺の病への対策には諸説があるが、川崎医科大学泌尿器科学教室の永井敦教授は、講演・著書でこう指摘している。
「前立腺は空になった精嚢内を、再度精液で満タンにするために働く。射精回数が多いほど、前立腺は働き続け、前立腺の病気を予防できる」
渡辺氏は生前、こうも語っていた。
「異性への興味を持ち続ける人こそが生命力のある証。異性に興味を失ってしまったら、人はすぐに“枯れた人”になってしまう」
枯れた男性の、前立腺の病へのリスクは高そうだ。
実際、「ビクトリア州がん協会」(メルボルン)のグラハム・ジレス博士のグループは、前立腺ガン患者に対し、性生活に関するアンケートを実施した結果、より射精する人ほど前立腺ガンになりにくいと分析している。そしてジレス博士によると、週に5回以上射精していた男性は、前立腺ガンを発症する確率が3分の1にまで減少するという。研究結果を見る限り、「日々是好色」主義は、健康を維持する方法の一つだったことになる。