今クールは医療ドラマブームが再燃している。月9の「PICU 小児集中治療室」(フジテレビ系)をはじめ、「赤ひげ」(NHK BSプレミアム)、「祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録」(日本テレビ系)などだ。中でも「トラベルナース」(テレビ朝日系)は「看護師版ドクターX」とのフレコミなのだが…。
「とにかく、放送時期が最悪です」
と顔をしかめるのは、医療ジャーナリストの那須優子氏である。続けて、
「トラベルナースと横文字でカッコをつけても、所詮は使い捨てがきく派遣ナースです。新型コロナ終息傾向に伴い、一時期、医療機関と保健所がかき集めた派遣ナースがこの秋、大規模リストラに遭っている。トラベルナース発祥地のアメリカでも、労使上の問題から、90年代には下火になっています」
日本の派遣ナースが問題なのは、
「立場が弱く、労組にも加入してないため、体重100キロ以上あるような巨漢のコロナ患者の世話を押し付けられるなど、業務が過酷すぎること」(前出・那須氏)
なのだという。
肺炎で身動きのとれない巨漢の看護を丸投げされ、腰や腕を痛めて使いものにならなくなると契約解除…つまり、使い捨てされるのだそうだ。
「アメリカのトラベルナースが新型コロナ対応で日当1000ドル(14万円)の報酬をもらっているのに対し、日本の派遣看護師は腰を痛めて就業困難になっても、日当はアメリカのわずか10分の1。本来、ナースがもらうべき報酬をピンハ…というか、ナースに日当を支払っている『胴元』は、あの竹中平蔵氏が今年8月まで会長を務めていたパソナグループです。国や自治体の入札情報がなぜか公開されませんが、パソナはコロナ関連事業を一手に引き受けている。同社に対する訴訟を準備中の看護師もいますよ。集団訴訟など社会問題化したら、ドラマも大炎上は避けられない。リベラル層に支持されるテレビ朝日がよりによって、パソナ忖度ドラマを作るとは…」(前出・那須氏)
先般の玉川徹氏の電通発言に続き、テレビ朝日の迷走が目立つ。