この「極秘資料」に列挙されたグループ数は警察が公表している準暴力団数よりも多く、実態解明が進んでいるように見える。が、かつて半グレに属していた会社役員によると、
「資料作成時点で解散していたグループも含まれていて、リアルなものとは思えない。組織として今も活動中の怒羅権に至っては、実態を知る人間のほうが少ないぐらいで、解明への道は険しいんじゃないか」
とはいえ、法令でがんじ搦めにしたヤクザに代わって台頭する半グレを「当局が看過するわけがない」と、石原氏は指摘する。
「現在は半グレ、準暴力団に対する捜査手法を法改正を含めて構築しようとする段階にあると思います。暴力団に対して、暴対法や暴排条例を作る際に、警察は事前に世間へ暴力団の危険性を巧みにアピールする戦略を採りました。それと同様に、今回の池袋での乱闘事件を、半グレグループの危険性を世間に訴える材料として警察側は利用する可能性もあります」
実際に、乱闘事件について、捜査関係者からは、
「こんなにわかりやすい事件を起こしてくれたんだから、関係者は引っ張れるだけ引っ張るつもりだ」
という声まで上がっているという。警察当局vs怒羅権の現状を、社会部記者はこう分析している。
「すでに、サンシャインで乱闘劇を演じた男たちは、互いに『手打ち』がなされたとの情報もあります。つまり、被害者がいない状況で、たとえ逮捕されても起訴まで至らないと見る怒羅権関係者もいるようです。が、最近の怒羅権は、40代の若手がトップに立っています。警視庁は、そのトップをチャイニーズドラゴン内部の複数のグループ幹部も認める実力者と見ています。ちらばっていたグループが一本にまとまることを懸念しており、傷害容疑が無理ならば、器物損壊でも容疑はいくらでもある。簡単には追及の手を緩めないと見られます」
半グレと警察の飽くなき攻防は、いまだ端緒についたばかりなのだ。