「事務所を退所したら仕事が制限されてしまうって、いつまでそんなことやってんの、この芸能界って。優秀な人間を使っていくっていうのがエンターテインメントであって、それが平等ってもんじゃないの」
11月7日、自身がMCを務める「スッキリ」(日本テレビ系)で、加藤浩次が吠えた。
加藤は、同番組で「King&Prince」のメンバー3人の脱退と所属するジャニーズ事務所退所を報じた際に、3カ月前にインタビューしたという脱退メンバーの1人、平野紫耀の心境や、かつて吉本興業を「退所」した加藤本人の「思い」をこのように話したのだ。
そして、この発言のわずか4日後に「スッキリ」が来年3月いっぱいで終了することが発表された。テレビ局関係者が語る。
「番組は、韓流タレントをゴリ押ししたり、アイヌ民族への差別発言でBPOに審議されたことなどから、次第に視聴率が落ちていった。最近では『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)に視聴率で大きく水をあけられているし、『めざまし8』(フジテレビ系)に抜かれることもあるなど、苦戦が続いていました。ただ、それが番組の打ち切りの原因というより、簡単に言えば、日本テレビがジャニーズ事務所と吉本興業から加藤をかばいきれなくなったということなんです」
「かばう」とはどういうことか。例えば「スッキリ」は、2019年の吉本興業の「闇営業問題」を取り上げた唯一のワイドショーだった。
「吉本興業に所属していた加藤が、『闇営業問題』では、吉本興業の大崎洋会長を番組中に公然と批判しました。加藤は『このままなら吉本を辞める』とも発言、結局は退所ではなく吉本興業とのエージェント契約となりましたが(21年3月31日に契約は解除)、そんな加藤が同番組のMCを続けられたことだけでも異例中の異例でした。その頃から番組改編期のたびに『スッキリ』終了の話が週刊誌などをにぎわせましたね」(前出・テレビ局関係者)
加藤はまた、元SMAPの「辞めジャニ」3人の話題も取り上げるなど、ジャニーズ事務所に対しても批判をためらわなかった。視聴者からは《よくぞ言ってくれた》という意見も多く寄せられたが、ジャニーズ事務所からは不興を買っていたと言われる。
「テレビ局の中でも、特にゴールデン帯の番組をジャニーズ事務所と吉本興業に依存している日本テレビは両プロダクションに逆らえない。今までもっていたのが不思議なくらい」(前出・テレビ局関係者)
こうして日テレがようやく「加藤切り」を決断した、というのが、業界関係者の一致した見方なのだという。
冒頭の加藤の怒りの発言は、大手事務所やテレビ局の思惑に振り回される1人のタレントとしての苦悩の発露だったのかもしれない。