「いたずら目的で連れ去り、騒がれたので殺した」──。迷宮入りかとも思われた「栃木小1女児殺害事件」で、ついに逮捕された勝又拓哉容疑者。台湾生まれのこの幼児趣味男の周辺を取材すると、目を背けたくなるような「変態性欲」の全貌が浮かび上がった。
「幼児への深い執着と、自分が昔そこでイジメられていた母校の小学校への恨みもあって、勝又は以前から有希ちゃんが通う大沢小の児童を狙っていたようだ。しかし、なぜ面識のない有希ちゃんを自分の車に乗せることができたのか。それは、小さい女の子の興味を引くようにフロントガラスの内側に、縫いぐるみをたくさんつり下げていたからなんです」
戦慄すべき犯行の「動機と手口」について、こう話すのは、さる捜査関係者だ。
2005年に、栃木県今市市(現・日光市)の市立大沢小学校1年・吉田有希ちゃん(当時7歳)が下校途中に連れ去られ惨殺された事件で、勝又拓哉容疑者(32)=栃木県鹿沼市=が、栃木、茨城両県警の合同捜査本部に殺人の疑いで逮捕されたのは6月3日。
この捜査関係者によれば、当時、有希ちゃんの拉致現場近くに住んでいた勝又容疑者は、有希ちゃんを狙って犯行に及んだわけではないが、当時の大沢小学校の児童の様子についてかなり詳しく知っていたフシがあると、こう明かす。
「実は勝又の母親と有希ちゃんの母親は当時、近所同士ということもあって、交友があった。親友というほどではないが、何人か誘い合ってディズニーランドに行ったこともある。そのことは捜査一課でも把握しています。そうしたつきあいの中で、勝又の母が、地元の小学生の女の子が何に興味を持っているか、縫いぐるみならどんなキャラのものが人気なのかなどを聞いていて、それが勝又に伝わった可能性もあるんです」
大沢小学校の児童は自宅が遠い子が多く、農地と森林を縫うように走る道を通わなければならないため、犯罪防止のため集団登校することも少なくなかった。
「大沢小の卒業生でそのことを知っていた勝又は集団登校のない日を狙って獲物が近づいてくるのを、白いセダン車の中で待ち伏せていたようだ」(地元記者)
当時、23歳の勝又容疑者は一日中、家でゴロゴロして、昼頃、起きだし、コンビニ弁当を買い、あとはパソコンでゲーム三昧という毎日を送っていた。そんな引きこもり状態は中学時代から続いていたという。
台湾生まれの勝又容疑者は約20年前に来日。先に母親が美容学校に入学するため来日していたが、やがて日本人のAさんと結婚。Aさんは「連れ子は養育しない」と言ったが、母親の兄が台湾から勝又容疑者を連れてきて、居ついてしまったという。母親はAさんの両親と同居したが、勝又容疑者はその後Aさんの両親と折り合いが悪くなり、鹿沼市のアパートに転居。母親はAさんの家と勝又容疑者のアパートを行き来する生活だったという。その後、母親の金銭問題などが理由でAさんとは離婚。そんな境遇で育った勝又容疑者は、
「とにかく、日本語ができないので、学校ではイジメられてました。友達もできず、すぐにキレる子だった」(小学校時代の同級生)
やがて、自宅に引きこもり始めた息子に母親は何でも買い与えたという。パソコンに長じていたのもそのせいだ。が、そうした過保護が本人をますます増長させ、離婚前のAさんとは、殴り合いのケンカになることもあったという。中学卒業後に地元のホテルに就職するが長続きしなかった。その一方で、幼児趣味、ナイフ収集趣味が、エスカレートしていくのだ。