阪神の主砲・ゴメスが5月中旬からヒゲを伸ばし始めました。内容は明かしていませんが、目標達成に向けての願掛けということのようです。
彼の古巣のレッドソックスも昨季、チーム内でゲン担ぎにヒゲを伸ばすことが流行し、ヒゲ軍団としてワールドシリーズを制覇しました。レ軍流の願掛けで、現状打破の思いも強いのでしょう。ゴメスのあごヒゲともみあげのつながったワイルドな風貌は、苦悩の表れとも言えます。
4月(3月の3試合を含む)と5月のゴメスの成績を見比べると、大きな差があります。月間打率は3割2分7厘から2割2分5厘に下がりました。打点は33から10に激減。本塁打数は4本から6本に増えましたが、チャンスでの凡退が目立ちます。6月1日の日本ハム戦(札幌D)では、満塁の走者一掃の適時二塁打、3日の楽天戦(コボスタ)でも11号2ランを放つなど好スタートを切りましたが、4月ほどの爆発力とまではいきません。
成績低下の一番の要因は、相手に特徴を覚えられたことです。序盤は、体調不良でオープン戦終盤に出場するだけで開幕を迎えたことが、逆にプラスとなりました。情報不足の相手が手探りで攻めてきたところをしとめていたのです。しかし、試合数を重ね、徐々に弱点があぶり出されてしまったのです。
相手バッテリーが軸としているのは、内角高めの直球と外角低めの変化球という、対角線を使った典型的な外国人封じの配球です。ゴメス自身も開幕当初より体が出来上がり、強くバットが振れるようになったことで、よけいに低めのボールになる変化球にバットが止まらなくなりました。交流戦前の巨人戦では、左方向に内野手3人が守るなど、引っ張り専門の打球方向のデータも活用されています。
フォーム的には、右膝の粘りがなく、体が前に突っ込む傾向があります。ボールとの距離が取れないことで、変化球の見極めが悪くなり、速い球にも差し込まれてしまうのです。ヤクルトのバレンティンとの差はここにあります。
バレンティンは体が前に突っ込むことがなく、後ろが小さく前が大きいスイングなので飛距離が出ます。そして、コマのような軸回転のレベルスイングができるので、どの方向にもホームランが打てるのです。ゴメスの場合は右肩が下がってしまうので、反対方向の右翼席へのホームランは期待できません。