テリー 今は誰と住んでるの。奥さん?
きよし いや、かみさんもいるし、いろんなのがいますから。
テリー じゃあ愛人もいる?
きよし いるいる。いっぱいいる(笑)。
テリー いいね、それ。
きよし 前のかみさんはガンで亡くなっちゃってね。このかみさんのおかげで俺は売れたんですよ。当時、三重県で店をやっていて、毎月30万ずつ仕送りしてくれて、時計はカルチェだ、ライターはデュポンだって買ってくれた。「そんなのいらねえよ」って言ったら、「地方へ行って、麻雀やった、ポーカーやったで金なくなったら帰ってこれないでしょう。そんな時はこういうのを持ってれば質屋へ入れて電車賃ぐらいできるから」って。車だってスカイラインのハコスカを買ってくれたり。
テリー 最高じゃないですか。2人目の奥さんは?
きよし 出会った当時、俺は違う女と住んでたんだよ。そこにずっと、俺を車で送ってくれていたの、女と住んでるってわかっていても。「芸人の女房にするにはこういう女がいいな」と。やきもちをやかないし。だって僕らは師匠に付いた時に「女遊びしてこい」から始まるんですから。「女も口説けないやつが何で舞台に立ってお客を引っ張れるんだ」って。
テリー そうだ! 今はコンプライアンス(法律や倫理に従うこと)がありすぎだよね。
きよし 今はみんな、芸人がサラリーマンみたいになってるから、つまんないよね。
テリー つまんないですよ。
きよし だって、普通の芸人より何でテリーさんのほうがおもしろいのって。俺もテリーさんとはいろんなことを経験して‥‥。
テリー だって「テリーさん」っていう仲じゃないもんね。俺が「伊藤輝夫」としてディレクターだった時、きよしさんは超売れているタレントだったから。
きよし だけど今、テリーさんが制作者だったって思う人はいないでしょう。もともとこういうタレントの人かなって思われてるよね。
テリー 本当だよな(笑)。
きよし 今の若手を見ても、学校みたいなところから出てくるから、みんな一緒じゃないですか。しっちゃかめっちゃか遊んで、自分の芸を作り上げていかなきゃ、いい芸人なんかできないって。だって、昔はすごいことやらされたんだよ。
テリー そうだよね。
きよし 新宿のモード学園で若手のディレクターに「学生のいる前でヌードモデルやって」って言われて、「お前、いいかげんにしろよ。何で俺が裸になんなきゃいけないんだ」って断ったら、昔のディレクターもすごかったね。「これをやらないと自分がクビになる!」みたいな話を出すんだよ。
テリー 手ぶらで帰ると、俺に怒られるからね(笑)。
きよし かわいそうだと思うから「じゃあやるよ」って。前張りはしてるんだけどスッポンポンだよ。カメラは後ろから撮って、ケツとかみんな映るからさあ。
テリー ハハハハ。
きよし 山伏の荒行をやらされて、岩山を登ったり。一歩間違えたら、動けなくなっちゃう。そんなことをやらされるんだよ。
テリー おもしろかったね。
きよし もう怖いなんてもんじゃなかったな。
テリー そんなことばっかりやってたよね。いい時代だよね。
きよし いっちばん、芸人にとってムチャクチャな番組やったのがこの人なんだから(笑)。
◆テリーからひと言
きよしさんは変わらないね。ツービートの漫才を、浅草のストリップ劇場でもう1回見てみたい! ぜひ検討してください。