今週は東京で「エプソムC」が行われる。東京開催も終盤を迎え、おまけに梅雨入り。万券王・水戸は道悪巧者のフェスティヴタローを穴馬に指名した。一方、阪神の「マーメイドS」はフーラブライドのハンデに注目だ。
人気どおり、比較的堅く収まることで知られる重賞エプソムC。過去10年を振り返ってみる。
馬連で万馬券になったことはなく、馬単では2回。それも1万円台。1番人気は3勝、2着2回、3着3回。掲示板に載らなかったのは、わずか1回のみ。2番人気は1勝、2着3回、3着1回。馬券的には本命サイドの競馬と言ってよさそうだ。
それでも今回の顔ぶれを見てみると、GIII戦にしてはレベルが高い。各馬の力量に大きな開きはなさそうだ。カルドブレッサ、シルクアーネスト、ディサイファ、マーティンボロ、そしてマジェスティハーツが人気を分け合いそうだ。でも、ダークシャドウ、ダノンヨーヨー、タマモベストプレイ、マイネルラクリマら実力派も虎視眈々。どう転ぶか予断は許されないが、見応え満点の熱のこもった競馬が見られそうだ。
馬券的には、堅実な走りを見せるディサイファ、休み明けも鉄砲駆けするマーティンボロ、休み明けを2度使われ本来の姿を取り戻した感がするマジェスティハーツのいずれかから入るのが筋だろうか。
なぜなら前述した有力どころは5歳馬と4歳馬。過去10年で見てみると4歳馬が最も連対しており、6勝、2着4回。5歳馬は3勝、2着5回と圧倒的(6歳馬は1勝、2着1回)。7歳以上は連対を果たしていない。こんなデータを突きつけられては、いよいよ人気3頭の争いということになるのだろうか。
しかし、もう1つおもしろいデータがある。馬単で2度万馬券になった際は、ともに道悪だった。東京競馬は終幕に近く、芝コースは傷んできている。そして梅雨入りだ。一雨くれば道悪競馬は避けられない。つまり、道悪の巧拙を馬券作戦の大きなポイントとして加えなければいけないということだ。
良馬場発表でも時計がかかる──このへんを考慮して浮かび上がる馬は、フェスティヴタローだ。
前走のメイSは4カ月ぶりの実戦。重め感なく仕上がっていたが、この馬らしい前向きさがなかった。
「元気がなく、へんに折り合っていた。それでもよく頑張っていた」
とはコンビを組んだ田中勝騎手。久々で昇級初戦。それでいて勝ち馬とコンマ7秒差なら使われての変わり身を見込んでいいはずだ。
逃げ、先行脚質のこの馬は、とにかく道悪が上手。これは血統からうかがい知れること。父ローエングリンは道悪巧者だったし、母は交流重賞のエーデルワイス賞の勝ち馬で、3勝全てがダート戦。その血を受け継いでのことと判断できるが、この馬のよさは芝のスピード競馬でも十分に対応できるということだ。
「初めはここまで出世するとは思えなかったが、使うたびにグングンと力をつけていった。走るよ、この馬。重賞を狙えるだけの力はある」
こう期待感たっぷりに話すのは天間調教師。良血ぞろいの今の競走馬からすれば二枚落ち、いや三枚落ちの血統だが、血統からこんな一種“異能馬”が良血を蹴散らすのも競馬のおもしろさ、醍醐味というものだろう。とにかく、この馬の先行力、勝負根性は特筆もの。コース(東京)、距離(千八)ともに得意。雨が降ればなおさらだが、ここはこの馬にとって走れる条件がそろっている。
相手は前述した有力3頭だが、中でも厚めに買いたいのは、ディサイファだ。前走は勝ったグランデッツァが強すぎたまで(レコード駆け)。依然として好調子だし、これまた道悪巧者。近親にグラスワンダー(有馬記念連覇)がいる良血。展開しだいでは大勢逆転があっていい。
◆アサヒ芸能6/10発売(6/19号)より