今週は東京で「エプソムC」が行われる。比較的上位人気で決まる重賞だが、今年は好メンバーがそろい混戦ムード。波乱含みの戦い。一方、阪神の「マーメイドS」は、5年連続で2桁人気馬が馬券に絡む荒れ傾向の重賞だ。
サマー2000シリーズに向かう馬、ここを使って秋に備える馬。各馬さまざまだが、GIIIながら骨っぽい顔ぶれが集うことで知られる、人気の重賞エプソムC。目下2連勝と勢いづくサトノアラジン、このレース2連覇を狙うディサイファ、復活なった快速エイシンヒカリ、そして安田記念を自重し、急遽回ってきたフルーキー他、今年も好メンバーがそろった。
見応え満点と言っていいが、賞金別定だけに比較的人気サイドで決まるのが特徴だ。03年に馬単が導入されてからのこれまでの12回で、馬単で万馬券になったのはわずか2回。馬連は0回で、昨年まで8年連続して万馬券は出ていない。1番人気は4勝、2着2回。2番人気は2勝、2着3回。この8年では1、2番人気のいずれかが連対を果たしている。こんなデータがある以上、やみくもな穴狙いは無謀でしかない。
他にどんな特徴があるだろうか。これも過去12年を振り返ってわかることは、本格化した4歳馬が圧倒的に強く(7勝、2着5回)、充実の5歳馬(4勝、2着5回)がそれに続く。6歳馬は1勝(2着2回)のみ。7歳以上の連対は皆無だ。
であるなら、4、5歳馬に、まず目を向けるべきだろう。
ならば前述した人気のエイシンヒカリ、サトノアラジン(ともに4歳)のいずれかから入るのが馬券の筋ということになるが、穴党としては、簡単にうなずくわけにはいかない。やはり少しばかりひねってみたい。
狙ってみたいのはユールシンギングだ。人気どころに決して見劣りしない力量の持ち主だからだ。
周知のとおり3歳秋にセントライト記念を勝ち、菊花賞で穴人気(4番人気)になったほどの馬。結果15着と大敗を喫したが、それでも昨春には新潟大賞典を制している。ポテンシャルの高さは推して知るべしだが、体質的な弱さと気性の悪さが災いして、その後は使っては休むという繰り返し。今年も【17】【18】【8】着と、目下のところサッパリだ。
しかし前走の新潟大賞典では相性のよいコースということもあり、しまい追い上げて勝ち馬にコンマ5秒差まで詰め寄ってみせた。これは復調をうかがわせるものではないだろうか。
「代謝がよくなって馬体が締まってきた。ムキにならなくなり、競馬に集中するようになっている。いい時の姿に戻ってきたことは確か」
こう良化ぶりを強調するのは勢司調教師だが、ならスランプ脱出と見ていいのではないか。1週前の追い切りも伸びやかでリズミカルだった。であるなら、期待できるというものだ。
左回りはスムーズで、特に東京コースは〈1 2 1 0〉と相性がいい。1800メートルの距離も得意とあっては、ここは言わば走れる条件がそろっている。4代母シャダイアイバーはオークス馬で、近親にエアジハード(安田記念、マイルCS)がいる良血。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
穴はノーステアとフルアクセルだ。前者は長距離馬のイメージが強く、この距離でどうかだが、得意な東京コースなら好走可能。曾祖母は全欧3歳女王(英オークスなどGI3勝)。軽視は禁物だ。後者も左回りは得手で、使われて大幅良化。両馬とも道悪になったら大きく浮上していい。
マーメイドSは、荒れることで定評がある牝馬限定戦。一筋縄では収まらない。期待を寄せたいのは、アドマイヤシーマだ。
まだ準オープンの身。その1600万条件の前走は9着。が、これは“2走ボケ”。軽く見ては断じていけない。近親にシロッコ(BCターフなどGI4勝)がいる良血。軽ハンデを生かしての“一発”があっていい。
◆アサヒ芸能6/9発売(6/18号)より