「約束」は、11月28日に敗血症で急逝した渡辺徹さんの2枚目のシングルだ。82年8月25日にリリースされ、約55万枚を売り上げた。音楽番組「ザ・ベストテン」(TBS系)では4週連続で1位を獲得し、年間でも15位にランクインした。
もっとも、あるテレビウォッチャーが「渡辺さんの登場シーンとしてより印象的だった」と語るのが、「ザ・ベストテン」と同時期に放送されていた「ザ・トップテン」(日本テレビ系)での出演場面だ。
「『ザ・トップテン』には『もうすぐトップテン』という、ランク外ながら話題曲を取り上げるコーナーがあり、渡辺さんが『11位』で出演する回がありました。この時、10位の小泉今日子はすでに歌を終えて後ろの席に座っていたのですが、司会の堺正章から前に出るように促されたんです」
実は、渡辺さんと小泉は、渡辺さんの曲がBGMとして使われた江崎グリコのテレビCMで共演しており、その「ペアショット」はファンにとっては貴重なシーンだったのだ。
「ただ、この時、堺といっしょに司会を務めていたのが榊原郁恵でした。彼女は84年のドラマ『風の中のあいつ』(日本テレビ系)で渡辺さんと共演して急接近し、結婚することになったのですが、今にして思えば、そんな2人のペアショットのほうがより貴重だったのかもしれませんね」(前出・テレビウォッチャー)
ちなみに、小泉は渡辺さんの第一印象を、「凄い賑やかな人で、ロケバスに乗っててもず~と最初から最後まで歌を歌いっぱなしな人。お兄さんみたい」と語り、それを受けて榊原が、「それだけ歌が好きなんですね~」とにこやかに感想を語る場面もあった。
今から約40年も前の出来事だ。若き日の2人のこのシーンを見れば、泉下の渡辺さんも思わず微笑むに違いない。
(所ひで/ユーチューブライター)