俳優・渡辺徹さんが亡くなっていたことがわかった。所属事務所の発表によれば、11月20日に発熱、腹痛などの症状を訴えて病院を受診したところ、細菌性胃腸炎と診断されて入院。治療を続けていたが、全身に細菌が回る敗血症を併発し、28日に亡くなったという。
医療ジャーナリストの那須優子氏によれば、
「糖尿病が怖いのは、血管がボロボロになること、新型コロナやインフルエンザなどの感染症が悪化することです」
コーラを1日9リットル、カルピスは原液で飲んでいたという食生活を送り、ピーク時の体重は130キロあったという渡辺さんも例外ではなく、12年に心筋梗塞、13年には急性すい炎に見舞われた。
16年からは糖尿病悪化による慢性腎不全を患い、週3回の人工透析を受けていた。昨年、心臓の弁膜症手術を受け、自身のSNS上で、心機能を回復させるための心臓リハビリテーションの様子を公開するなど、近年は舞台をこなす一方で、病魔との戦いだった。前出の那須氏が言う。
「近年の渡辺さんは体重が70キロ台にまで落ちたそうですが、それは妻・榊原郁恵さんの献身的な看病や食事管理のお陰だけではないのです。糖尿病はある一線を越えると、すい臓がインスリンを分泌しなくなり、食べても食べても10キロ単位で痩せていく。太っていた人が痩せていくので運動や食事制限の効果が出た、あるいは自然によくなったと勘違いする人がいますが、逆です。既にすい臓が機能しなくなり、インスリン注射を手放せず、体の筋肉や脂肪が溶けていく。砂糖水が全身を駆け巡っているようなものなので、足の指先が腐り、心臓や腎臓の血管が真っ白く石灰化します」
健康な人なら大したことはない「風邪」や「歯肉炎」「胃腸炎」でも、感染部位から細菌が糖分たっぷりの血流に乗って、全身の臓器へと回るという。那須氏がさらに続ける。
「そうなれば、抗生剤の点滴など、何をやっても手遅れ。全身の至るところで炎症を起こし、他臓器不全を引き起こす。それが今回、渡辺さんの命を奪った『敗血症』です」
血液検査結果に不安がある人が心がけるべきは、
「清涼飲料水を日常的に飲んでいるなら、糖分のない飲み物に置き換える。会食や宴会の機会がある人は焼酎のお茶割り、梅干割りをチョイスする。シメのラーメンは野菜マシマシにして、麺を残す。食事量を減らせないのならキノコや海藻、こんにゃく、しらたき、葉モノ野菜を真っ先に食べてよく噛み、血糖値の急激な上昇を防ぐなど、無理のないところから始めると長続きします」(前出・那須氏)
げに恐ろしき病。できることは即刻、やるべきだろう。