この年末は、サッカー日本代表によるテレビ出演ラッシュが続いている。
W杯カタール大会で見事な采配を連発した森保一監督には「紅白の審査員だけは勘弁です」と本人が固辞したにもかかわらず、最終的には出演することになった。
各局が総出で森保ジャパンの出演交渉に走る中、選手で最も登場回数が多かったのがGK権田修一(清水エスパルス)だ。確かに1次リーグのドイツ戦などはスーパーセーブを連発し、「権田の18秒」があったからこそ逆転勝ちにつながった。しかし続くコスタリカ戦の失点は、
「権田のポジショニングの悪さがあった。(吉田のパスミスに)焦って前進しすぎた結果、起きた失点だった」(日本代表OB)
にもかかわらず、出演オファーが多いのは、
「国内組だからです。海外組の選手はすでに所属クラブに戻って練習に参加していますから。もちろん権田以外に出てほしい選手はいますよ」(民放局スポーツ担当ディレクター)
その権田はW杯期間中、「ここにいる記者の方々で、正直、僕らがベスト16に進出すると思った方はほとんどいないんじゃないですか」などと常に「上から目線」で、その対応に担当記者との関係は極めて微妙ものだったと評された。
権田は出場機会を増やすべく、20年にポルトガルのポルティモネンセからJクラブへの移籍を希望した。最終的には清水に決まったが、「何事も強気で押し切る性格には、今の若手選手が萎縮する」(Jクラブ強化担当)と、獲得を断念するクラブもあった。
そして清水は今季、W杯直前の11月5日にコンサドーレ札幌に敗れたことで、15年以来、2度目のJ2降格が決定。一方の権田はW杯から帰国後、清水との契約を残しながら「欧州でプレーするのがいいかもしれない」などと匂わせている。
これは基本的にJ2の選手が日本代表に招集されることがない、という慣例を意識してのことだろう。テレビに出まくる裏では、欧州リーグへの就活真っ最中なのかもしれない。
(小田龍司)