岸田政権は基本アベノミクスの踏襲です。これまでは最終的に安倍元総理がOKを出せば党内をまとめてもらうことができました。ところが、7月の銃撃事件で岸田総理の政治基盤がガラッと弱体化してしまいました。
防衛費をGDP比2%に上げる話も、そもそもは増税なしの赤字国債でやろうと考えていた安倍元総理の政策です。ただ、岸田総理は本来の経済を熟知する宏池会の立ち位置に戻り増税に舵を切ったわけです。
ところが、党内基盤が弱いため、その財源はツギハギだらけ。徴収しやすいたばこ税、さらには、復興特別所得税2.1%の内の1%などハチャメチャです。そもそも東日本大震災のための支出はやむなしと思った国民はこの先何十年取られ続けることになるのか。一方、同じく復興特別法人税はわずか2年で廃止になっている。実は、アベノミクスで儲けても、株主還元、従業員の給料アップ、研究開発もせず、大企業はひたすら何百兆円もため込んでいるんです。庶民の所得税ばかり狙い打ちするなら、この内部留保金に課税するのが先でしょう。ほかにも年間1000万人超も来る観光客に入国税を課すとかアイデアはいくらでもあるはずです。
だいたいこのタイミングで増税するなんて言い出したら、ようやくコロナ禍から明けたばかりの庶民がお金を使うとは思えません。給料は上がらず、年金は減る一方。おまけに増税で経済はますます悪化し、国の税収は減る大ピンチになるのは目に見えている。岸田総理にはどこを向いて政治をやっているのかと問いたい。
かつて小泉純一郎元総理は党内では変人扱いされましたが、国民を味方につける政治で選挙に勝ち、党内での勢力を増やしました。党内で孤立無援になっている岸田総理は今こそこの小泉方式に打って出るべきです。
まず、国民を味方につけるためにアベノミクスでできなかった賃金を上げること。マジメに生活している年収500万以下の人々の生活を防衛することが必要です。もちろん国防も大事だが、その前に国民が倒れたら国は何を守るというのでしょう。例えば、食料品に関しては消費税を下げる、もしくは期間限定で廃止にすれば、物価高で困っている人は一息つけると思う。ここまでやれば、防衛費にしても統一教会の問題にしてもそれほど批判を浴びなかったはずです。
その旧統一教会問題では関係の深い安倍派の議員を一掃すれば「岸田は怖い」と永田町を震撼させることもできたはず。その大胆さに欠けるのが岸田総理の“真骨頂”なんでしょうね。もしも、総理自身がドロ舟だと気づいた上でここまでハチャメチャをやっているのなら、国民にとってこれほどの悲劇はありません。