岸田文雄総理(65)は完全に負のスパイラルに入っている状態です。何をやっても支持率は下がりっぱなし。例えば、閣僚の首を切るにしても、後手後手で追い込まれてやったにすぎません。普通なら「よく切った」となるところが、「なんで今頃」と批判を浴びてしまう。30兆円規模の補正予算にしても、電気ガス料金などの補助金以外の中身は期待外れなものばかりで、これでは支持率は下がる一方でしょう。
岸田内閣には3つの力が欠けています。1つ目は経済対策。「資産倍増計画」「新しい資本主義」などはお寒い限り。2つ目が危機管理能力。閣僚人事など先手を打つ力がありません。3つ目はチーム力。政策を実現するには党や官僚と連携することが必要です。ところが、支持率が下がった今や、政権維持のため派閥の領袖などにあちこちで「支えてほしい」とペコペコ頭を下げ回っている。そうなれば、代わりに「この政策を頼む」「この人事を入れろ」などの要求には従わざるを得なくなります。官僚に対しても同様のことが起きていて、財務省からは増税、経産省は原発新設などドンドン言いなりになっていくのです。ちなみに、GDP比2%の防衛費に関して、今回は国債ではなく、増税で負担する方針となったのは、安倍政権時代に虐げられてきた財務省が復権したことに起因しています。これ以上国債を発行したくないという財務省の言いなりとなった岸田総理が増税を判断したわけです。ここにもその求心力のなさが見えてきます。
その防衛費では5年で43兆円という額が気になります。予算は国会で審議し、多数決を経て決まるものですが、この時期に43兆円という金額面ばかりが先行しているのは、23年1月に予定される訪米でバイデン大統領(80)への手土産にするため、と批判されてもしょうがない。ホワイトハウスでの会談で、巡航ミサイル「トマホーク」の大量購入を約束し、代わりに5月の広島G7サミットの際には大統領に長崎の被爆地も訪問してもらおうと考えている可能性も見え隠れする。
総理には2タイプありましてね。まずはその座を手段として自分のやりたい政策をやるタイプ。例えば、菅義偉前総理(74)は携帯電話料金の引き下げなどを実現しました。もう1つが総理になること自体が目的というタイプ。急に増税と言い出した岸田総理はまさにこのタイプで、旧統一教会問題でも最初は現行法で対応するとしていたが支持率が下がったとたん突如として「救済新法」を作ると言い出した。岸田さんは世論の批判が厳しいと自分の政策がコロコロ変わるんです。要するに、ソーリという肩書きが欲しいだけの人なんです。
コロナの問題でも、今頃2類から5類へ変更するなど話し合っているが、本来は22年3月の時点でやっておくべき話。ところが、7月に参院選が控えていると先延ばしにした。こうした時間稼ぎ作戦はことごとく失敗に終わっています。年明け新年ムードで期待感は多少上がるでしょうが、こうした朝令暮改で一貫性を欠く、希薄な岸田政権はせいぜい悲願の広島サミットまでが寿命でしょう。