今週は阪神で「宝塚記念」が行われる。登録は13頭ながら、ファン投票1位のゴールドシップ、2位ウインバリアシオン、3位ジェンティルドンナの他、有力馬が顔をそろえた。はたして春のGPを制するのは、どの馬か。
2連覇を目指すゴールドシップに、昨年の雪辱を果たし、GIドバイシーマクラシックをみごとに制した女傑ジェンティルドンナの二枚看板がデンと構える春のグランプリ宝塚記念。しかし、他の有力候補もなかなかで、はたして人気サイドで決まるかどうか、予断は許されないのではないか。昨年もこの2頭が人気を分け合ったが、結果はシップの圧勝。伏兵ダノンバラードが2着に粘ってドンナは3着に敗れた。
今回はそのうえ、昨年を上回り顔ぶれがいい。“女性軍”が、とにかくすごい。ドンナに加えてメイショウマンボ(オークス、秋華賞、エリザベス女王杯)、デニムアンドルビー(昨年のJCハナ差2着)、そしてヴィクトリアマイルを勝って復活を果たしたヴィルシーナという面々。豪華と言うほかない。
牡馬陣も負けてはいない。GI戦線で活躍し続けるウインバリアシオン、復活の兆しを見せる天皇賞馬トーセンジョーダン、春の天皇賞2着で勢いづくホッコーブレーヴ、そして生きのいいフェイムゲーム。まさに多士済々である。
であれば、より人気どおりには決まりにくいのではないか。
過去の宝塚記念を振り返ってみよう。圧倒的に強いと見られ、そのまま人気に応えて勝った馬は多い。ディープインパクトやオルフェーヴルは、その好例。ナカヤマフェスタのように超一流の能力がありながら、近走の成績が冴えず評価が低かった馬が勝つケースもままある。2着に人気薄が頑張ることも少なくない。
今回はいずれのケースになるかだが、良馬場ならシップよりジェンティルドンナが先着すると見ている。ドンナはドバイ遠征に際して今年は昨年と違って間を開けずに京都記念(6着)を使って臨んだ。つまり帰国後の反動がなく、この中間順調に調整されてきたことは強調しておこう。
ドンナを主力に、多彩な有力どころへ──が今回の馬券作戦の筋ではあるが、穴党にはできぬ相談。これだけ顔ぶれがいいのであれば、昨年以上に紛れがあっていいはずだ。
期待したいのは、ヴェルデグリーンである。
ここに入ると実績が見劣ることから、さすがに評価は低い。が、強敵にもまれ続けて使われるたびに地力強化されてきたことは見逃すべきではない。
前走の中山記念(5着)は、AJC杯を勝ったあとのレースで少し楽をさせ、余裕残しの仕上がり。それにこの馬にとっては距離が短かったし、雨降り馬場(やや重)も影響していた。陣営にとっては納得の敗戦だった。それでも勝ったジャスタウェイが強すぎただけ。2着以下と、そう差はなかった。まずは参考外にしていい。
今回は、それ以来4カ月ぶりの実戦。その点がどうなのかと疑問視する向きは多いと思う。が、陣営にとっては年頭から今春の最大目標は、この宝塚記念。前走後、ここ一本に的をしぼっての調整は、いわば予定の行動なのだ。
相沢調教師は言う。
「リフレッシュを目的とした放牧を挟んで、思いどおりに調教できた。たくましくなって今なら強敵相手でも遜色なく戦えるはずだ」
陣営の思惑はわかる。成長してパワーアップしたなら、相性のいい得意の右回り。好勝負できると判断していいはずである。最も得意としているのは中山。その中山と阪神は右回りというだけではなく、似ている点は多い。
阪神は一度走って大敗(13着)しているが、2歳時でのもの。初の長距離輸送で体重が大きく減っていたことを思えば、これは参考外。1週前の追い切りは文句なし。鉄砲実績があるのだから力は出し切れる。祖母はオークス馬。血統(母系)のよさから“一発”があって不思議ない。
◆アサヒ芸能6/24発売(7/3号)より