今週は春GIシリーズのラストを飾る「宝塚記念」が阪神で行われる。注目は「平地同一GI3連覇」のかかるゴールドシップだが、万券王・水戸は速い時計決着での不安もあるとして、牝馬ヌーヴォレコルトに◎を打った。
中央競馬前半戦の掉尾を飾る宝塚記念。関西版グランプリだが、今年もなかなかの顔ぶれがそろった。
史上初の3連覇を狙うゴールドシップを筆頭にGI勝ち馬が6頭。それに準ずる馬もむろん多く、前半戦を締めくくるにふさわしい豪華版だ。
当然のことゴールドシップの3連覇なるかが焦点だが、ヌーヴォレコルト、ラキシスら“女傑”と呼んでいい5頭の牝馬が名を連ねているのも話題となっている。裏返せば牡馬一線級が頼りにならないと言えるだろうか。
昨年のダービー馬ワンアンドオンリーは、同じ馬主のキズナが体調を崩して自重したことから、言葉は悪いがいわば代役での出走、と見られている。本来なら渡英するプランだったからだ。今年はドバイ遠征に続く2戦目で3カ月ぶりの実戦。阪神コースがめっぽう得意なだけに断じて軽く見るわけにはいかないが、とにもかくにも体調が気になるところ。追い切りの動きを注視したい。
同じ4歳牡馬のトーホウジャッカルも蹄の不安が長引き、菊花賞を勝って以来8カ月ぶり。どう見ても割り引きが必要だろう。
牡馬では、あと昨年2着のカレンミロティック、前走の鳴尾記念快勝のラブリーデイで、この両馬は十分争覇圏内と言っていい。
では最有力候補と見られるゴールドシップを、どう評価するべきか。これもなかなか難しい。実績を素直に見れば、一昨年も昨年も完勝しており、阪神もほぼパーフェクトの〈6 1 0 0〉なだけに本命視するのが筋だろう。が、そう簡単にいかないのが競馬だ。
一昨年も昨年も休み明け3戦目で宝塚記念に臨んだが、今年は間隔を置いているものの、休み明け後5戦目でレースを迎える。すでにピークを過ぎた6歳。天皇賞・春のあとゲート再試験もあったりで、体調維持がこれまで以上に難しかったのではないだろうか。
速い時計での決着になった場合の不安も拭いきれないこともあり、穴党としては、やはり本命視することはできない。
牡馬勢に全幅の信頼が置けないのであれば、強気で出走してきた牝馬に目を向けたい。中でもより期待したいのは、ヌーヴォレコルトだ。
絶対視された前走、ヴィクトリアマイルは6着と期待を裏切る結果に終わったが、関係者も分析しているように、本質的にマイル戦は短かったということだろう。桜花賞僅差2着の実績はあるが、年齢を重ねるとその馬の特徴、個性というものがより鮮明となるものだ。また前走に関しては、落ち着きを欠いていた。悪い馬場での中山記念を勝ったその反動、つまり“2走ボケ”があったのでは、と推測している(このことは、当欄でヴィクトリアマイルの際に指摘していた)。
しかし、この中間は落ち着き払って好気配。稽古の動きも軽快かつリズミカル。まずは前走以上の仕上がり状態と言って間違いない。ならば好勝負必至だ。
斎藤誠調教師も「この春の最大目標はここ。距離はベストだし、阪神も相性がいい」と、期待感たっぷりに話す。
相手なりに走る勝負根性が持ち味で、これまで圧倒的に好成績を残す4歳馬。
道悪も不安なく、晴雨にかかわらず主力と見たい。
他の牝馬では人気のラキシスよりディアデラマドレ、デニムアンドルビーを上位と見たい。ともに阪神は得意。状態もすこぶるいいからだ。“一発”は、トーセンスターダム。豪州遠征帰りだが、仕上がりは良好。トーセンジョーダン、カンパニー(ともに天皇賞・秋)が近親にいる良血。要注意だ。
◆アサヒ芸能6/23発売(7/2号)より