1月10日に行われた将棋の第81期名人戦C級1組順位戦で、とんだ「波乱」が勃発した。
平藤眞吾七段と対局した日浦市郎八段が「鼻出しマスク」を続けたとして反則負けを喫したのだ。
日浦八段は以前から「反マスク」の代表的存在として知られる棋士。過去にも週刊誌の取材で「コロナについてはかなり勉強した。私はマスクは感染予防に効果がないと考えている。だからマスクを着けない」とキッパリ。日本でマスクの着用はあくまで任意であると強調し、昨年2月から実施された「臨時対局規定」によりマスク着用が義務付けられて以降の2局の敗戦についても「マスクを強制された影響は、ゼロではないと思う」などとしている。今回の順位戦でも、立会人が何度か注意したものの、日浦八段は応じなかった。将棋ライターが語る。
「昨年10月には、佐藤天彦九段が名人戦のA級順位戦で、長時間のマスク不着用で反則負けとなり、佐藤九段は日本将棋連盟に不服申し立てを行った。このような状況に、棋士の間でも『規定を守るのは当然』という意見がある一方、『ひと言もしゃべらない対局中に、飛沫が飛ぶことなどない』と、いきすぎたルールを疑問視する声が上がっています。最近は飲食店や公共施設などでも緩和策がとられるようになっており、そろそろ将棋連盟も柔軟な対応に切り替えないと、ファンの将棋離れに繋がる可能性もあるでしょう」
ここまで厳格にするのであれば、いっそコロナが完全に終息するまで「オンライン対局」にすればいいのでは──。そんな冗談ともとれない揶揄が、反マスク派の将棋関係者からは聞こえてくるのである。
(ケン高田)