03年にスタートし、06年のシーズン2では30%近い視聴率を叩き出した医療ヒューマンドラマの金字塔「Dr.コトー診療所」(フジテレビ系)。同ドラマが昨年末、16年ぶりに映画として蘇り、1週間で興行収入30億円を突破、大きな話題を呼んでいる。
主演の吉岡秀隆は周知の通り、ドラマ「北の国から」(フジテレビ系)で20年にわたって「純」を演じてきた俳優だが、02年夏に放送された「北の国から2002・遺言」で共演、それをきっかけにドラマのストーリーそのまま、ゴールインした相手が、「結」を演じた内田有紀だった。
2人は同年11月6日、それぞれのホームページで結婚することをファンに報告。そこには、
「演ずるという仕事を通して出会い、当たり前のようにお互いをわかりあってきました。(中略)幸せだけを見つめ、謙虚に慎ましく二人で生きていきたいと思います」(吉岡)
「お互いを見届ける事を望み、喜びも悲しみも分かち合える彼と共に、謙虚に生きていきたいと思っております」(内田)
ドラマさながらの2人の心情が綴られていたのだった。
そして、発表から1カ月後の12月7日朝、富良野市役所に婚姻届を提出した2人は、夕方から始まる富良野プリンスホテルでの挙式を前に、揃って記者会見を行った。黒いジャケットに銀のネクタイでキメた吉岡。寄り添う内田は同色のワンショルダーのワンピース姿だ。2人は式を前に緊張な面持ちだったが、まず吉岡がこう語った。
「僕らは役の中で結婚するのだけど、役と自分たちが違うんだと話し合う中で、自然とこうなりました。『北の国から』を務めあげ、ほっとしているときに彼女が横にいたんです。僕は純ではなく、吉岡秀隆なわけで、吉岡秀隆として彼女を幸せにしたいと思います。当たり前の暮らしが毎日できるよう、気負わずのんびりやっていきたいです」
内田はそんな彼のどこに惹かれたのかと問われ、「飾らず、気負わず、自然にいられることです」と答える。子供については「今は主婦業に専念して。(子供は)ゆっくりと時間をかけながら…」と、「自然に」「のんびり」「ゆっくり」という言葉を繰り返した。
脚本家の倉本聰氏が演出、田中邦衛やいしだあゆみら50人ほどが出席した挙式披露宴の模様は「北の国からつながり」によって、翌9日のフジテレビ「めざましテレビ」「とくダネ!」「スーパーニュース」等で時間を割いて放送された。
もっとも、番組関係者いわく、
「本来であれば、フジと吉岡とは20年のつき合いであり、局としては挙式と披露宴を中継したいと申し入れたようです。でも、吉岡は断固拒否。やむなくワイドショーでの放送にとどまったと聞いています」
事実関係をフジテレビに問い合わせると、
「そういう事実はありません」(広報部)
とはいえ、これも周知のように、この挙式からわずか3年で2人は離婚してしまった。倉本氏は「遺言」の続編として「純と結が離婚するシナリオ」も考えていたというのだが…。なんとも皮肉な符号に驚いたものだ。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。