テレビ業界が地盤沈下して久しいが、それは何も視聴率だけの話ではない。テレビ局の根幹を支える営業部員も次々と会社を去っているという。
つい先日も、中核都市の某民放テレビ局に3人の営業マンが転職してきた。全員が同業他社からの転身組だった。
「3人のうち2人は他系列のテレビ局で長年、外勤営業を担当していた人で、もう1人は中堅広告代理店からやってきました。本来なら本拠地に配属して1、2年は地道に内外勤の営業をさせてノウハウを学ばせたいところでしたが、売り上げの大半を占める東京支社のスタッフが次々と辞めてしまったこともあり、研修期間もなく、いきなり内勤のデスクとして働いてもらっている状況です」(大手広告代理店関係者)
テレビ局の営業マンといえば、かつては単価の高い地上波のCMを獲得すれば、あとはクライアントとともに「出張」という名の接待ゴルフや温泉旅行に出かけることも多かった。
「早ければ11月には年末年始のCM枠が売り切れるから、その後の12月、1月なんて毎日忘年会、新年会のオンパレードだった」
こう懐かしむのは古手の営業マンだが、今では「昨年末も枠が売り切れず、年末ぎりぎりまでセールスをかけなければならなかった…」とこぼすのである。
どんな業種でも楽とはいえない昨今の経済状態だが、テレビ局は以前の栄華が突出していただけに、その激しいギャップに苦しんでいるようだ。