芸能

野村克也 朝日新聞「関節痛サプリ」全面広告の“絶好調”は大嘘?

 朝日新聞6月23日付の30面。サプリメントの全面広告に、あの野村克也氏(79)がドーンと登場した。いつものボヤキ節とはうってかわって「絶好調トーク」を展開しているのだが、これが「ウソつくな!」というツッコミどころだらけのシロモノなのである。

「楽々新聞」なる全面広告に〈野村克也さん現役復帰!?〉のキャッチコピーが躍り、野村氏が現役時代さながらにキャッチャーミットを構えてしゃがむ写真。さらには〈現役時と変わらず「絶好調」〉の文字が。

 これは「マイケア」なる業者が販売する「イタドリ」というサプリメントの宣伝。その愛用者だという野村氏が、いわゆる広告塔として登場しているのである。

 広告にはまず、現役時代の過酷な練習によって体に負担がかかったこと。そのツケで、引退後はすっかり「別人」となったことなどの告白がある。そして現在の仕事であるプロ野球解説や講演活動で全国行脚をするようになると、深刻な状況に見舞われたのだという。

〈北海道の翌日に、福岡の試合‥‥なんてこともある。それに、壇上で1時間半も講演をしていると大変よ。ついさっきまで笑っていたのが嘘みたいに、つらくなって‥‥〉

 野村氏はいろいろなことを試したものの、どれも効果なし。そんな折、半年前にこの「イタドリ」を勧められ服用してみたところ、

〈こりゃすごい! わりかし早くに、想像以上の体験をするようになったんだ〉

 何がいったいすごいのか。全面広告をつぶさに読んでも「楽になる」「日常生活の不安解消」など、薬事法の問題があってか、イマイチわかりにくい表現ばかりだ。そこで「マイケア」の公式サイトを見ると、「立ち座りのたびにズキズキ‥‥」「スムーズに歩けない‥‥」「階段の昇り降りがつらい‥‥」という人向けで、1日分にグルコサミン1000ミリグラムを配合しているものだとの説明がある。さらには「ふしぶしの痛み」をやわらげるための商品だとも。なるほど、膝などの関節痛のサプリメントだったのだ。

 野村氏の告白はさらに勢いを増していく。

〈これは全然違うわ。なんたって、いちばんつらい思いを忘れたような気分よ。「楽」とか「スッキリ」なんてのは、初めてだったからね。(中略)つらいとか、しんどいとか、そういうの全然ないからさ、晴れ晴れしてるんだよ。(中略)若い頃と同じで、絶好調なんだよ。「イタドリ」があったら現役復帰できるんじゃないかな(笑)〉

 ホンマかいな。いや、記者は6月14日、山形県新庄市の講演会で、野村氏の「本当の姿」を目撃していた。

 講演開始のアナウンスで登場したノムさん。会場に設置された舞台に登壇するための、3段ほどの階段を上がるのにつまずきそうになると、慌ててスタッフが駆け寄り、両脇を抱えてエスコートする。どうにかステージにたどりつくと、片足を引きずりながら歩き、マイクの前に着席。そして開口一番、こうボヤいたのだ。

「いやぁ‥‥急に衰えてきちゃってなー。足からくるんですよ」

 みずから不調をバラし、どこをどう見ても「絶好調」とは程遠い。サプリメントを飲んでいるはずなのに、階段の昇り降りがすこぶるつらそうで、スムーズに歩けないのである。

 スポーツ紙デスクが言う。

「昨年末のスポーツ特番で、メジャー挑戦を控えたマー君の投球を恩師のノムさんが受けるという企画があり、普通にしゃがんでミットを構え、ストレートを捕球していました。で、『この球なら大丈夫だろ』というようなことを言って、わりとシャキシャキしているように見えたんですがね。それからわずか半年ほどでこんなことになったとは‥‥」

 講演終了後、ステージから降りる際もわずか数段を自力では降りられず、またしてもスタッフに両脇を抱えられて、グラグラにヨロけながら降壇。

 現地から東京へ戻る際、偶然、野村氏と同じ新幹線に乗り合わせた記者は到着した東京駅でも野村氏の様子を観察してみた。

 新幹線ホームから改札口への下り階段は使わず、エレベーターへ。片足を引きずるようにしてズルズル、ヨロヨロと歩き、2段ほどの下り階段はスタッフの支えがなければ足が進まない。やがてつらさが蓄積したのか、みずからスタッフに覆いかぶさると、肩につかまり、引きずられるようにタクシー乗り場へと消えていった。

 広告の勇ましい文言は大ウソだらけ。これじゃ「逆広告」ですよ。

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