1990年代後半から2010年ぐらいまでに生まれた世代がいわゆるZ世代。だが、一般的に「Z世代」が良い意味で使われることは少ない。
現役高校生が投稿して大騒動となった回転寿司チェーン店・スシローにおける「テロ動画」などで、Z世代の悪名が轟いてしまった。
「SDGsによる地球環境問題についての関心の高さなど、実はZ世代の中には現在の中高年では到底及ばないくらいの良識を持っている若者も多いのです。でも、同世代の一部の人間の浅はかな行為でZ世代そのものが批判の対象になってしまう傾向にある。とはいえ、『Z世代はヤバい』となる理由はこの世代を取り巻く環境にも理由があると言えそうです。実は、先ごろスポーツ庁が公表した令和4年度の小中学生、いわゆるZ世代最後の年代の『体力測定』の結果がかなり問題視されているのです」(週刊誌ライター)
2020年以降のコロナ禍という特殊状況下で子どもたちが自由に運動できないなど、外的要因による体力低下は懸念されてはいたが、その懸念が現実のものになったというのだ。
「小中学生の男子女子ともに、体力調査の合計点が平成30年をピークに翌年の令和元年から急降下。令和4年になっても歯止めがかからず、すでに30年も前の水準にまで落ちてきているのです。その一方で肥満も増加中。令和3年が過去20年で最大の肥満比率でしたが、令和4年はさらに更新。この結果にSNS上でも《ヤバい》という声が多く上がりました。教育の現場からも、《一生懸命部活してる人がダサいという雰囲気がある》《youtubeばかり見ている子が増えた》という意見もあり、波紋は広がるばかりです」(前出・週刊誌ライター)
ただ、コロナ禍だけが体力低下の原因ではないようだ。スクリーンタイム(テレビを見たり、スマホやゲームをする時間)の増大により、運動の時間がなくなってしまったことが問題視されているのである。
スポーツ庁の担当者も、「コロナ=体力低下というのは短絡的」と分析しており、やはりスクリーンタイムの増加が、「運動だけでなく、子どもの生活習慣を変えてしまった可能性がある」としている。
冒頭の「回転寿司テロ動画」が、生活習慣が変わったがゆえの事件だったとは一概には言えない。だが、今後、Z世代の生活習慣が元に戻る、などという楽観視はできない状況なのだ。
(山田ここ)