脇本雄太はまくりに回る手もある!
ビッグタイトルは、チャンスと見れば狙わなければ獲れない。
今年のGI第4戦「弥彦寛仁親王牌」(7月18日【金】~21日【月】)に出走予定のS級S班は、後閑信一、金子貴志、浅井康太、深谷知広の4人。昨年のここで、師弟の金子と深谷が初のワンツーフィニッシュ。2人は競輪祭でも再び1、2着になり、金子は2冠、さらにグランプリも獲った。今年はそろって当時の勢いはないものの、大舞台の戦い方は熟知しているだけに立て直してきておかしくない。
金子は、75期では同い年(38歳)の太田真一、伏見俊昭に続く3人目のGIウイナーだが、今回の同期は堤洋だけ。ベテランの活躍が目立つとはいっても一部の選手に限られ、その多くは下降線をたどる。大きな着が増えた金子の2連覇は、まずセミファイナルを突破してからか。
勢いでは、ここ4カ月の競走得点がただ1人120点を超えている岩津裕介。ラインができない不利なレースでも最後まで勝負を捨てない敢闘精神は、まさにプロと言える。ここまで玉野と川崎で記念2Vを飾り、前走・宇都宮高松宮記念杯では2度目のGI3着。表彰台の中央に立つ資格は十分に備わっている。そして狙って獲るのがビッグタイトルであることは、岩津がわかっている。
さて、並びと展開。東日本は関東の池田勇人─後閑、南関の根田空史─松谷秀幸、北日本の飯野祐太─菊地圭尚が有力も、全て2車のライン。対照的に西日本は深谷─金子─浅井の中部トリオを筆頭に、近畿の脇本雄太─稲川翔─松岡健介、九州の中川誠一郎─井上昌己─大塚健一郎と、それぞれ3車で結束し、岩津はいつものように単騎戦。他では神山雄一郎と志智俊夫の勝ち上がりがある。
根田と池田が主導権を狙っても、脇本が来れば引くしかない。まくる深谷は7番手からなら、中部勢の台頭がある。
本命は脇本。1周半駆けても粘れるが、勝ちにこだわり、まくりに回ってもいいのではないか。対抗はレース巧者の岩津。3番手評価は、深谷しだいも、金子と浅井で互角と見た。
伏兵は中村一将、小松崎大地、河端朋之の3選手。機動型がそろう近畿勢にあって仕掛けの早さで中村が押し切る。前走・FI青森Vの勢いを買うのが小松崎。河端はナショナルチームで健闘しているが、本職でもそろそろ好走していい。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家。
◆アサヒ芸能7/15発売(7/24号)より