そして、最も警戒すべきは解放軍の潜水艦だという。
「04年に、解放軍の漢級潜水艦が日本の領海を侵犯したことからもわかるように、解放軍は沖縄から南西の海域をくまなく調べ上げていると言われています。水深はもちろん、海流や水温、塩分の濃度、さらには海底がどんな状況であるかまでです。そんな熟知した海域で、スクリューを止めて、海底に鎮座して待ち伏せしている可能性もあります」(村上氏)
また、世良氏も中国の潜水艦の脅威をこう説明するのだ。
「解放軍が持っているキロ級と呼ばれる潜水艦は静寂性が高く、発見が難しいと言われています。そのキロ級潜水艦はロングレンジの対艦ミサイルを搭載することができます。こうした潜水艦の動きを封じることが肝要です」
海自の対潜能力は高いと言われている。P-3C哨戒機を中心として、十分に対応できるだろう。
それだけ、P-3C哨戒機は解放軍にとっては撃ち落としたい標的でもある。解放軍の戦闘機が襲いかかってくるだろう。
村上氏が言う。
「解放軍はJ-10やJ-11という戦闘機を保有していますが、戦闘能力に関しては日本の航空自衛隊の主力戦闘機であるF-15を上回っている面もあります。とはいえ、空自のパイロットの錬度は高く、世界でもトップ5に入ると思われます。ましてや、解放軍は電子戦に弱いと指摘されています。レーダーをジャミングすることで、米軍の力を借りずとも、空自だけで、十分に対応できるはずです」
日米台の3軍が協力すれば、解放軍を抑えることは十分に可能なのだ。
そして、日本の集団的自衛権行使は中国の暴挙を止めることに一役買うことは確実なのである。
しかし、それでも中国の脅威は去らない。尖閣諸島の領有権を主張。東シナ海では、13年1月に中国のフリゲート艦が海自の護衛艦にレーダーを照射。今年5月には、東シナ海上空で解放軍のSU-27戦闘機が空自と海自の航空機に急接近するなど、挑発行為を繰り返している。
世良氏はこう話す。
「東シナ海での中国の暴挙に立ち向かうのは、集団的ではなく個別的自衛権の問題です。今回の閣議決定では、こうした武力行使まで行かないグレーゾーン事態への対処は明言されませんでした。今後、関連法案の整備の中で明確化していくと見られますが、一刻も早い法整備が急がれます」
閣議決定に伴う関連法改正は来春以降と目されている。“安倍軍事政権”が中国に牙をむく日はそう遠くないのである。