一昨年の雪辱戦!深谷知広がまくり切る
人気選手にかかるプレッシャーは並大抵ではなく、それが敗因の一つになることもある。
「小松島記念」(7月3日【木】~6日【日】)に出走予定のS級S班は、深谷知広の1人だけ。シリーズの看板選手として重責を担うことになるが、負けられない4日間と自覚しているはずだ。迎え撃つ地元勢は乗れている原田研太朗が核弾頭になり、3車で結束は固い。熱烈なファンが多い土地柄だけに、選手にも気合いが入る。
深谷は前走・久留米記念で初日から2戦快勝のあと、3日目準決勝戦でまさかの7着敗退。赤板の叩き合いから先行しては、さすがの深谷も粘れなかった。しかし、今後を意識して脚を試したフシもある。ここは一昨年、9着に敗れて以来の雪辱戦。プレッシャーをパワーに変えられる超一流の競走に期待する。
S1在籍2年目になる原田は、一時期のスランプを克服したようだ。深谷の1歳下で23歳の若武者。実績は比べるべくもなく、プレッシャーは言い訳にならない。先輩2人の前で主導権を取るだけだ。
さて、並びと展開。地元勢は原田─阿竹智史─小倉竜二の小松島トリオ。中部は深谷─志智俊夫で、ここまでが西日本の有力どころ。東日本は関東の相川永伍─神山拓弥─芦澤辰弘、南関の小埜正義─勝瀬卓也─武井大介。そして、北日本の早坂秀悟─大槻寛徳までか。他では、近畿の中村一将と西谷岳文の勝ち上がりがありそうだ。
主導権争いは激しくなる。原田が先陣を切るが、相川と早坂が早めに仕掛けて叩き合いも。深谷には絶好の展開になる。
本命は深谷。一昨年の決勝戦も志智とのライン。今度はまくり切って弥彦寛仁親王牌(7月18日~)に弾みをつける。2段駆けの阿竹が対抗。原田の奮闘しだいでは逆転も。3番手評価は神山と見た。
伏兵は、湊聖二(徳島・86期)、椎木尾拓哉(和歌山・93期)、才迫開(広島・101期)の3選手。
地元の湊は、3月にここのFIを優勝、4月武雄記念は予選2連勝で準決勝に進出している。好位を主張できるのが強みだ。椎木尾も5月松阪記念で準決勝に乗り、6月FI奈良【1】【1】●【1】(●は決勝レースの着順)でS級初V。予選は突破できる。S級入りして、いきなり記念を走るのが才迫。兄は勇馬(S2)。徹底先行がどこまで通用するか、とにかく逃げるだけだ。
◆プロフィール 山口健治(やまぐち・けんじ) 1957年1月、東京都荒川区生まれ。競輪学校38回生卒業チャンピオンとしてデビュー。主なタイトルは日本選手権、競輪祭(2度)。09年1月引退。現在「スポーツ報知」評論家
◆アサヒ芸能7/1発売(7/10号)より