侍ジャパンの佐々木朗希が3月3日、アメリカから帰国した大谷翔平と初対面を果たした。大谷は内陸の岩手県奥州市(旧水沢市)出身で、花巻東高校に進学すると、学校近くの寮で暮らしていた。一方の佐々木は沿岸部の陸前高田市生まれで、震災後に隣の大船渡市で暮らし、県立大船渡高校に進んでいる。
お互いが生活していた場所は100キロ近くも離れているし、方言もかなり違っているが、今の若者はテレビなどの影響もあって、昔のような、地域による違った言葉の使い方はしないから、スムーズにコミュニケーションは取れることだろう。
この2人に共通する場所は、岩手の大会で必ず行く、盛岡市内の岩手県営球場であろう。夏の甲子園予選の決勝が行われるのがここであり、大船渡のような盛岡から遠いチームは、盛岡市内に宿泊することになっている。
さて、初対面の2人であるが、大谷の方が年上でもあり、緊張している佐々木の気持ちをほぐすようにしていた。その中で大谷が「福田パン、知ってる?」と聞いたのだ。まさか大谷の口から「福田パン」が出てくるとは…。
「ニューヨーク・タイムズ」が今年1月に「今年行く都市」を選び、盛岡が世界2位となった。
実は盛岡で地元の方と雑談していると、必ず大谷と同じ質問を受ける。
「そりゃあ、知っていますよ。コッペパン美味しいですね。何を選ぶかの楽しみもあるし」
このように答えれば、親しくなる密度が上がるのは間違いない。
盛岡に行くたびに知人の大学教授の車に乗せられて通ったのが、この「福田パン」だった。1948年の創業で、長田町の本店はまるで学校のような外装。壁には大きな時計もある。その大学教授はまるで子供のようにウキウキした表情を浮かべて「福田パン」に行くのが常であり、そうとう好きなんだなぁと、いつも感じていた。
コッペパンに自分の好きな具材を挟んでもらうスタイルで「オリジナル野菜サンド」や「アンバターサンド」などに、人気があるようだ。その他に菓子パンが34種、総菜パンは14種もあり、どれを選ぶのかの楽しみは大きい。徒歩で盛岡駅からは15分ぐらいかかるが、いつ行ってもお客さんで溢れている。